今年後半、変化の見通しが?
ドル高一服感の理由と米国経済

 昨年末から年初にかけて為替市場で目立った動きは、原油価格の下落に伴い、これまで続いてきたドル高傾向にやや一服感が出ていることに加えて、ロシアのルーブルやブラジルレアルが一時、大きく売り込まれたことだ。

 ルーブルやブラジルレアルが売り込まれた背景には、“逆オイルショック”と呼ばれる原油価格の下落があった。一方、独歩高を続けてきたドル高傾向にやや変化が見られた背景には、もう少し複雑な要素が絡み合っていると見る。

 ドル・円の動向については、当面ドル高・円安傾向が続くとの見方が大勢だが、今年後半以降、ドル高傾向に変化が出るとの見方が台頭している。

 そうした予想の理由の1つは、投機筋のドル買い・円売りの持ち高=ポジションが大きく積み上がっていることがある。ポジションが大きく積み上がると、原油価格の予想外の下落などの波乱要因によって、ポジションを手仕舞う動きが一斉に出る可能性が高まる。

 そうした大手投資家のポジションの事情に加えて、米国FRBの金利変更時期が後ずれする可能性も取り沙汰されている。足もとの為替市場を見ると、FRBは年央までに政策金利の引き上げを行うことがすでに織り込まれており、仮にそうした予想が狂うとすれば、為替だけではなく株式などの金融市場にも影響が出るはずだ。

 ドル相場の大元にある米国経済の回復は続くと見られるものの、景気サイクルから見て、そろそろ天井圏に差しかかる可能性も指摘される。また、一部の経済専門家から、「サブプライムローンが復活しつつあり、ニューヨークなど一部の地域では不動産バブルが発生している」との指摘も出ている。

 為替ディーラーなどにヒアリングすると、「足もとのドル高の一服は、ポジション調整による一時的現象」との見方が多い。