来年新しくスタートを切る大学院の全貌が少しずつ明らかになって来ているが、今回はその中から注目のものを一校紹介する。青山学院大学の大学院に、新しい専攻をして誕生する、総合文化政策学研究科の「文化創造マネジメント専攻」である。

 研究科自体の発足はすでに今年行なっており、5年制の博士一貫課程「総合文化政策学専攻」としてスタートを切った。そして来年、2009年の設置になるのが新専攻である。専攻の設置は学位の種類や分野を変更しないなどの一定の条件を満たせば文科省への届け出で設置できるので、開講は確実。すでに案内書の頒布も始まっている。

 そしてこの新専攻の修士課程は、社会人を主な対象としている。「第14条の特例」を使うことが折り込み済みなので、昼夜開講などの弾力的な時間割が組まれるだろう。また春/秋の2回、入学時期を設定する予定である。立地・交通の良さと合わせて、社会人には「通いやすい」大学院になるはずだ。

 専攻の目標として「メディア文化、都市・国際文化、アートマネジメントなどの実践的知識を有し、メディア、文化団体、文化産業、国際機関、企業の広報、企画、マーケティングなど、多彩な分野で高度な専門性を活かすことのできる人材育成」を挙げている。平たく言えば、中心部分は文化とアートをビジネスとして捉える能力、文化とアートのマネジメント/プロデュースの大学院と言えるかもしれない。注目の学際分野であることもあり、進路はさらに広い。カリキュラムには社会科学、人文科学を幅広くオーバーラップしたもので、総合的に文化をマネジメントしようという意欲が見える。

 研究科内で併設している5年制一貫博士課程は3年次編入の制度を持っている。入口は社会人向けだが、修士修了時にはアカデミックへの志望変更の門戸が開かれていると理解してもいいだろう。興味深いのは、「社会調査士」及び「専門社会調査士」の資格取得が可能という点。社会学系のこの資格は、メディア系で大学教員を目指そうという人間の後ろ支えになる可能性がある。

 教員陣がまた秀逸だ。研究科長にはフランス文学者の石崎晴己。長く青山学院文学部の教授として活躍したエースを据えている。非常勤教員の顔ぶれがまた凄く、小林康夫の「表象文化論」、柏木博の「デザイン論」、日比野克彦の「現代アート論」、松岡正剛の「編集工学」。こんな講義があったらいいな、を現実化している。

青山学院大学大学院 総合文化政策学研究科 文化創造マネジメント専攻