就職氷河期経験者の多くが持つ
「仕事のあいまいな不安」

なぜ就職氷河期世代は<br />なんとなく会社を辞めたくなるのか特に積極的な動機もなく、なんとなく会社を辞めたいと思ったことはないでしょうか?
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「私、このままでいいんでしょうか?」

 弊社で実施している20代向けのキャリア相談会では、こんな相談がたくさん寄せられます。皆さん「転職を考えている」ということで参加されますが、その背後にある理由を深掘りしていくと積極的な動機があるわけではなく、「このままずっと今の会社にいてよいのか」というあいまいな不安感にさいなまされていることが多いのです。

「会社は有名ではないが勢いがあり、給料も高くはないが悪くもない。自分の扱っている商品やサービスの調子もよく、上司や同僚にも恵まれている。でも、しかし……」

 そんなあいまいな不安の根っこにあるのは「入りたくて入った会社ではない」という気持ちです。「このままでいいのか?」という不安を訴える人の多くは、就職氷河期で志望した職種に就けなかった人です。

 就職の厳しい時期に志望通りではない会社に入社した人たちが経験を積み、一通り仕事を覚え、世間の様子もわかってきたとき、ふと「私がもともとやりたかったのはこういう仕事だったかな?」という疑問が頭をもたげるようです。

「自分は不正解かもしれない」
その焦りが不幸を生む

 子どもの頃からやりたい仕事があって、努力してその仕事に就けた幸せな人がいるのは間違いありません。しかしストレートに夢をかなえた人より、たまたま何らかの仕事に出会って一生懸命打ち込み、その結果幸せになれた人のほうが世の中の多数派だと思います。

 どちらの道がスタンダードであるということはありませんが、やりたい仕事を頑張って獲得するという考え方をする人には「受験ロジック」が見え隠れするのが気になります。要は志望大学というゴールを目指して努力し希望を叶えるんだという思考パターンを、職業の選択にも当てはめようとする傾向があるのです。