2015年3月3日、東京・千代田の経団連会館にて、国際ビジネスコミュニケーション協会が主催するさまざまな分野の国際人が登場し、これからの日本人に必要とされる「コミュニケーション力」について情報発信および議論を行った。

国際ビジネスコミュニケーション協会 理事長
室伏貴之

「近年、世界における日本の存在感・影響力の低下が懸念されています。その原因は、語学力だけではなく、コミュニケーション能力の不足にあるのではないか。そのような問題意識を発信する機会を設けたいと考えたのが、今回のフォーラムを開催した背景です」

 そう語るのは、英語能力を測るTOEICプログラムの運営をはじめ、グローバル人材の育成を支援する各種事業を展開する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)の室伏貴之理事長だ。同協会が開催した「グローバル コミュニケーション フォーラム」の模様をダイジェストでお伝えする。

国際社会では「しなやかな
したたかさ」が求められる

三菱商事 取締役会長
小島順彦

 第1部では、三菱商事取締役会長の小島順彦氏が、「グローバル社会で求められる人材とは」と題して基調講演を行った。

 冒頭に小島氏は、「VUCA(Volatility, Uncertainty, Complexity, Ambiguity=不安定、不確実、複雑、あいまい)」な現代の世界において、ビジネスパーソンに求められているのは「resilience(しなやかなしたたかさ)」であると指摘。そして、海外へ出て行くことの面白さを、若い世代に伝えることが重要だと強調した。

 さらに三菱商事における人材育成制度を紹介し、20代のうちから新興国などのハードな環境で経験を積ませることが、国際的人材を短期間で育てることに効果を発揮していると解説。また、自身の海外駐在時の経験から、「英語を流ちょうに話す必要はないし、英語が話せるから仕事ができるわけではない。とにかく自分の意見を言うことが大切。まずは日本語でももっとディベート力を磨くことが大切だ」と語った。

 最後にグローバル人材に求められる条件として、Curiosity(探究心)、Challenge(挑戦)、Communication(意思疎通)、Courtesy(礼儀)、Characteri-stics(独自性)の「五つのC」を紹介し、基調講演を締めくくった。

 第2部は海外発表として、最初に韓国のTOEIC実施機関、YBMの閔善植氏の紹介により、李東官氏が登壇。次に、インドネシアのTOEIC実施機関、International Test CenterのVictor Chan氏の紹介により、Sudrajat氏が登壇し、コミュニケーション力についての講演を行った。