『週刊ダイヤモンド』2015年4月4日号の特集は「NHK英語の秘密 TOEICの謎 禁断の英語攻略」。新しい年度を迎えるにあたり、英語学習の世界における2大ブランドに加え、オンライン英会話にスポットを当てて、そのコンテンツ製作現場から試験問題の“裏のウラ”まで見せます。

 3月上旬、都内のある書店の語学コーナーに迷い込むと、そこには不思議な光景が広がっていた。

「1日でできる!」「サクサク読める!」「最強のTOEIC」、はたまた「今年こそ留学」──。英語を学ぼうという来店者がそのコーナーを訪れると、まず目に飛び込んでくるのは、あらゆるジャンルにまたがって出版される新刊タイトルの数々だ。その魅力的なキャッチフレーズを見ると、うっかり手に取ってしまいそうになる。

 このコーナーにある書棚の数はなんと50本以上。そのはざまにある通路に足を踏み入れると、次から次に登場するテキストによる「教材包囲網」の中にポツンと取り残された気持ちになる。

 心配しなくても大丈夫──。そうささやくかのように、脇にはどうやって英語教材を選ぶかというムックまでご丁寧に10種類以上置いてある。

「正しい教材を選ぶには、まず正しいお薦め本を選ぼう」。ここまで来るとあっぱれといえなくもないロジックだが、こうして年間400億円の英語教材市場はグルグルと回っているのだ。

 これぞというテキストを手にすることができても、英語学習をするための道のりはまだまだ長い。

 もしもあなたが英会話を上達させたいのであれば、最初に思い付くのが英会話スクールのはずだ。

 国内の成人向け英語教育の市場は約2000億円。そこは知名度の高い大手英会話スクールがスケールメリットを利かせて陣取っている「語学学校の森」で、そのロゴや看板を見掛けることも多いはずだが、それには注意が必要だ。

「日本という国は、英語を喋るためのコストが世界で最も高い国なんです」と、ある英語スクールの経営者は話す。

 理屈はシンプル。1回数千円からのレッスンには、日本在住のネイティブ講師の高額な人件費と、駅前の好立地な不動産コストが含まれている。さらにレッスン料の支払い更新期に気分よく継続してもらうため、シビアな学習効果の測定をするよりも、心地よく通ってもらえるようにコミュニケーションに重点を置くのが主流となっているという。

「おいしいのは英語の初心者。語学スクールの8割は、この初心者市場で成り立っているとすらいわれています」(業界関係者) 

 学習者自身の責任もある。ネイティブスピーカーの美しい発音に憧れながらも、完璧主義に陥ってしまい、とにかく喋ってみようという人は多くない。背景にはリーディングを中心とした公教育での英語学習の偏りや、日本語で英語を教えるという伝統的な授業方式も影響している。

 継続コスト、多忙、そしてゴール設定のあいまいさ。こうした「挫折の墓場」の中に埋もれず、乗り越えられる人が一体どれだけいるだろうか。

 こうして長年にわたってアジアの中でも最も英語力が低いポジションにありながら、新年度が訪れるたびに、年間9000億円ともいわれるおカネが「不思議の国の英語ビジネス」には注がれ続けているのだ。

 そこで本誌は、英語を学びたい人たちのニーズに合わせて、最も費用対効果が高いと思われる“最短ルート”にだけに絞って取材を敢行。大きく三つのパートに分けて、それぞれに秘められた学習法やノウハウなどを余すところなく紹介したい。

 一つ目が、「禁断のTOEIC逆解析」だ。もし会社などから一定のスコアを課された場合、どのように短期間で効率的にスコアを上げることができるのか。その一点に絞ってノウハウを徹底研究した。

 中でも、長年にわたってTOEICのテストを研究してきた達人たちによる、試験問題の誌上解析コーナーでは、彼らの英知がぎゅっと詰まった最高のTOEIC参考書になるはずだ。

 二つ目が、90年間にわたって日本人の英語学習に最適化して、ラジオやテレビで放送される学習番組を作ってきたNHKの「秘密の制作舞台裏」だ。

 年間にして約1100万部のテキストを売り上げる彼らの英語番組は、ジャーナリストの池上彰氏など往年のファンも数多い。今回はスタジオの中まで入り込み、作り手となる人たちがちりばめた無数のこだわりや仕掛けを解き明かすことで、英語学習を楽しく習慣付ける一助にしたい。

 三つ目が、フィリピン人講師によるオンライン英会話の「驚異の最先端サービス」だ。非ネイティブと侮ることなかれ。1回99円からの低料金にもかかわらず、ユーザーの広がりとともに高度な教材やカリキュラムが続々登場しており、今や旧来の英会話スクールを脅かす存在になっている実情を描いた。

 多くの日本人が迷い続けてきた、不思議な英語学習の迷宮。この特集を読めば、それが悪い夢だったと思えるようになるはずだ。

英語ビジネスの仕組みは
産業分析としても面白い!

『週刊ダイヤモンド』4月4日号の巻頭特集は、「NHK英語の秘密 TOEICの謎 禁断の英語攻略」です。

 多くのビジネスマンにとって英語を流暢に操り、ビジネスで使いこなすことは憧れです。ところが強い意志の力を持っても、その目的と学習方法がきちんと噛み合っていなければ、ゴールデンウィークを過ぎた頃には早くも挫折コースに入り込んでしまう危険性はとても高いのです。

 私たち取材チームはそんな学習者の身に立って、まずはNHKの英語番組とTOEICという2大ブランドの舞台裏を解明するために奔走しました。何度も取材交渉を重ねた上でのキーパーソンたちへのインタビューでは、英語を楽しみながら続けるコツのみならず、時には最短時間で最大の成果をあがる“裏技”の数々も拾い集めました。

 また真面目で、コツコツ勉強をつづけるのが得意な日本人にとって、一番のネックが外国人と英語でやりとりする機会が圧倒的に少ないことです。そんなシャイで喋り下手な日本人の“特効薬”として、フィリピン人講師と1回99円という破格のレッスン料金で受講できるオンライン英会話の生情報もふんだんに詰め込みました。

 今年こそーー。何年もそう決意しては失敗してきた方々は無論のこと、英語産業という一つのビジネスの仕組みを知ることもできる面白いストーリーが満載です。ぜひ、ご一読ください。

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週刊ダイヤモンド2015年4月4日号
「NHK英語の秘密 TOEICの謎 禁断の英語攻略」

◆不思議の国の英語ビジネス

◆Part1 TOEIC逆解析で見えた200点アップ

◆Part2 NHK英語講座の全貌

Part3 オンライン英会話驚異の進化

 

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