「エクセルは実際に手を使って学ぶもの」です。週末はエクセルセミナーに、ぜひいらっしゃってください! 『ビジネスエリートの「これはすごい!」を集めた 外資系投資銀行のエクセル仕事術』の著者・熊野整氏による連載第20回。

 拙著『ビジネスエリートの「これはすごい!」を集めた 外資系投資銀行のエクセル仕事術』は、もともとサラリーマンの私が週末に個人的に開催しているエクセルセミナーの内容を元に執筆しています。出版を契機にセミナーに関するお問い合わせが増えてきたので、今回は私のエクセルセミナーについてまとめてみます。

 エクセルは、本を読んでも学べますが、やはりその後実際に手を動かしていただきたいもの。2015年2~3月は全国で開催しましたが、4月は東京のみ開催していますので、もしよろしかったらいらっしゃってください。

エクセルで学ぶビジネス・シミュレーション・セミナー(1)超入門(東京)

 ところで、ワタシのエクセルセミナーは、たくさんの場所で開催しています。過去に開催した場所は、東京・大阪・名古屋・福岡・仙台・札幌、シンガポール、台北。場所を決めた理由はシンプル。ワタシのフェイスブックに「札幌でやってくださいよー」と見知らぬ人から連絡がくれば、時間がある限り、のこのことお邪魔しています。

 交通費、宿泊費に加えて、会場代も自腹なので、ほとんどの場合は赤字となる。でもワタシにとっては、安く旅行できるようなものなので、赤字でも問題ありません。むしろ、旅行しても地元の人と話す機会は少ないが、エクセルセミナーで行けば、セミナーの参加者といろいろ話ができるので、旅行よりよっぽど楽しいので。

たとえ赤字になっても、私が日本中で<br />エクセルセミナーを続ける理由シンガポールのセミナーの風景です

 開催場所によって、セミナーの雰囲気は様々です。一番楽しいのは福岡。ワタシはセミナーで初めて福岡に行きましたが、参加者のみなさんの優しさ、気遣いに感動しました。セミナー終了後は、参加者みんなで飲みに行き、午前1時まで福岡の夜を楽しんだのは良い思い出です。

 その後も、福岡のセミナー開催が決まるたびに、「熊野さん、次は何が食べたいですか?もつ鍋ですか?イカですか?」と聞いてくれるのが本当にうれしい。あのイカの味は忘れられないし、福岡の人たちの優しさはもっと忘れられない。あと2回くらい福岡開催したら、そのまま福岡に住んでしまうような気がします。

 仙台での開催も、とても思い出深いですね。仙台で開催すると、東北地方からたくさん参加してくれます。秋田から車を飛ばして参加してくれた方は、奥さんと仙台まで来たそうです。奥さんは、と聞くと、「買い物してます」。旦那はエクセル、奥さんは買い物。なんと充実した週末!

 そして何よりも仙台で開催すると、震災復興を目指す方たちが多数参加してくれます。「復興計画をエクセルでつくりたいのでセミナーに来ました」と言われると、胸が熱くなる。こういう方たちに少しでも協力できるのなら、エクセルセミナーは続けなければいけないな、と心から思います。

 逆に、とても参加者が少ないのが名古屋。残念ながら、何度やっても人が集まらない。かつて名古屋で開催した際に、参加者の方から「熊野さん、人が集まらなくてすみませんねえ、名古屋の人はあまりセミナーに来ないんですよ」とおっしゃっていました。

 詳しく聞くと、「理由は2つ。まず、名古屋はトヨタのおひざ元なので、トヨタの指示に従って働く者が多いため、自分でスキルアップしようとする人が少ない。もう1つの理由は、愛知は信長、秀吉、家康という『天下統一者を輩出した県』というプライドがあるので、東京の人がセミナーしても、参加しない」という話でした。

 これが本当の話なのか、私には分かりませんが、勉強意欲のある人はどこにでもいるわけなので、やはりワタシの力不足が原因だと思います。もっとがんばって、本を売って、名古屋のみなさんにエクセルを好きになってもらえるように頑張ります。

 そして、海外でもエクセルセミナーを開催したことがあります。シンガポールで2回、台北で1回。これは多くの人に驚かれました。元々、シンガポールで開催した理由は、ワタシがモルガン・スタンレーにいたころの後輩がシンガポールで働いてまして、その後輩が「シンガポールきませんか?」と、声をかけてくれたため。さらに、その会社のオフィスをセミナー用に貸してくれました。場所代が浮くのはとても助かりました。

 シンガポールでの開催は、とても有意義でした。参加者は日本人ビジネスパーソンが多いのですが、みんなとても輝いていた。やはり海外で働くと、仕事のモチベーションも上がるのでしょう。とてもうらやましかった。シンガポールで働くのもまた、さまざまなシミュレーションを行うことが大切なのだと感じました。その要因のひとつが為替。通貨によって収益が大きく変わるので、1シンガポールドルが何円になったら損するのか、といった計算をしなければいけない。

 7時間のセミナーが終わったら、マーライオンを見て、参加者と食事をして、そのまま深夜便で日本に帰りました。滞在時間は1日もない弾丸トラベラーでしたが、とても楽しかった。セミナーの収支はたしか1万円の赤字だったが、1万円でシンガポールの日本人ビジネスパーソンと触れ合えるなら安いもの。

 台北も同じく、大学時代の友人が台北で働いているため、その友人に会いに行きがてらセミナーを開催しました。シンガポールと同じく、とても仕事熱心で、成長意欲の高い方ばかりでした。さらに台北の場合は、現地の台湾人の参加者も多かったです。日本語を話せる台湾人がこんなにいるのかと驚きました。良い経験だった。

 このように、ワタシが全国各地で開催する理由は、「縁があったから」です。このようなエクセルの輪をどんどん広げていきたい。本書を読んで、ワタシにセミナーやりましょうと声をかけてくれる人はいるだろうか。1人でもいてくれたら、出版は大成功です。