ニコンは長年、デジタル一眼レフ市場ではキヤノンの後塵を拝しシェア2位に甘んじてきた。しかし、2007年になって投入した入門機がきっかけでシェアが上昇、ついに年間シェアでもキヤノンを追い抜いた。2008年上半期もニコンのリードが伝えられている。

 そのニコンが、今度は高級機でもしかけてきた。7月25日に発売した「D700」(実勢価格約30万円)はキヤノンキラーとも言えるほどのインパクトを持っている。

 一口に一眼レフデジタルカメラといっても、いろいろな種類がある。特に、受像素子(CCDやCMOS)の面積は、入門機と高級機ではまったく異なっている。

 受像素子はデジタル以前のカメラでたとえるなら、フィルムの面積に相当する。この面積が大きければ大きいほど、暗い場面での撮影でもノイズが発生せず、背景が自然にボケるというメリットがある。つまり、写真好きに好まれる機能は、受像素子が大きければ大きいほど実現可能なのだ。そして、従来のフィルムカメラ並の面積の受像素子は「フルサイズ」と呼ばれ、高級機の代名詞となっている。ちなみに、フルサイズは入門機や中級機のデジタル一眼レフの受像素子の約2倍の面積がある。

 しかし、このフルサイズ受像素子搭載機種はこれまでキヤノンの独壇場だった。面積の大きな受像素子を大量生産するのには高度な技術が必要だが、キヤノンはいち早く市販化を実現。当初こそ100万円近くしたが、その後、30万円程度の機器「EOS5D」を2005年に発売している。

 高級機の市場は、主にプロが買う50万から100万円前後の超高級機と、それ以下の価格でハイアマチュアと呼ばれる一般の写真マニアでも買える高級機の二つに価格層が分かれている。EOS5Dは一般の写真好きでも買えるフルサイズ機として大きな注目を集めたのだ。