経営危機に陥った日本航空(JAL)をめぐり、世界最大の航空会社である米デルタ航空と第2位の米アメリカン航空がパートナーの座をかけて争奪戦を繰り広げている。デルタのリチャード・アンダーソン最高経営責任者(CEO)は12月9日、オープンスカイ(航空自由化)協定の合意に向けワシントンで日米航空協議が開かれているなか緊急来日。前原誠司国土交通相、西松遙・JAL社長、JAL再建関係者らとの面会を重ね、デルタと提携するメリットを強く訴えた。渦中のアンダーソンCEOに聞いた。

リチャード・アンダーソン
Richard Anderson
デルタ航空最高経営責任者(CEO)
コンチネンタル航空を経て1990年にノースウエスト航空に入社し2001~2004年にCEOを務めた。2007年9月から現職。テキサス州出身。ヒューストン大学卒業、南部テキサス法科大学で法務博士号を取得。 Photo by K.Sumitomo

―日本航空(JAL)はアメリカン航空などが率いる国際航空連合「ワンワールド」への加盟を継続するのではないかという見方が国内では依然強い。デルタ航空と提携して「スカイチーム」へ移籍するとなれば、コスト発生や顧客離れなどのリスクが生じるからだ。危険を冒すだけの移籍効果はあるのか。

 大幅な増収が可能になる。ワンワールドがJALにもたらしている収入は年5億ドル。ワンワールドに残留し、日米間でオープンスカイ協定が締結された後に米独占禁止法適用除外(ATI)を取得すれば、アメリカンの試算によると収入は1億ドル増える。つまり計6億ドルとなる。

 対して、デルタと提携してスカイチームに移籍すれば、10億ドルの収入が見込める。ワンワールドと比較して年に4億ドル規模の増収となる。

―なぜ、それほどの収入効果が出せるのか。

 規模のパワーだ。デルタが成田空港へ運ぶ乗客の数はアメリカンの4倍。空席が多いJAL機にわれわれの客を乗せれば、収益が増える。単純な話だ。