なぜ肝心なときに失敗してしまうのか、なぜ幸せを自ら崩壊させてしまうのか……。あなたには、そんなところはないでしょうか? 実はこれらはすべて思い込みからなる「人生脚本」のせいだと語るのは、「人生の99%は思い込み」の著者である心理学者の鈴木敏昭。
人生脚本は幼少期に構築されることが多く、その根底には「禁止令」があるという。果たして、禁止令とはなにか――

人生脚本は
「禁止令」からはじまる

人生の脚本は<br />幼少期の「禁止令」からはじまる

禁止令とは、文字通り「◯◯してはいけない」という命令のことである。
 誰しも子どもの頃、「知らない人についていってはいけません」「夜10時以降はテレビを観てはいけません」などの「禁止令」を受けてきたでしょう。

 また、言語化されない禁止令もある。
 たとえば、子どもがいつも母親から「ご飯の前にお菓子を食べてはいけません」と叱られていたとする。ある日、夕飯前にお菓子を食べたくてねだったところ、母親は「そんなに欲しいなら、食べてもいいわよ」と珍しく許可を出した。
 ところが、その母親の表情は眉が吊り上り、怒っているような表情だ。言い方もつっけんどんである。
 このような場合、子どもは無邪気にお菓子を食べるだろうか? おそらく、「食べてはいけないんだ」と察し、我慢するだろう。
 子どもは想像以上に、親の本音を察する力を持っている。

 このように、言葉以外の要素、つまり親の態度や表情、しぐさなどから感じとった「NO」という無言のメッセージも「禁止令」である。親は直接的に「ダメ」「いけません」と禁止するだけではない。無意識に非言語メッセージを子どもに出す。