斬新なことを思いつくには? いまよりもっと賢く考えられるようになるには? 日本人がもっと創造的になるには……?
『ヤバい経済学』で全米に経済学ブームを巻き起こし、ノーベル賞の先行指標とも言われるジョン・ベイツ・クラーク賞を受賞したシカゴ大学の経済学教授スティーヴン・レヴィットに、どうすればすごい発想ができるのか、どうすれば斬新なアイデアを生み出せるのか、インタビューを行った。

斬新なことを思いつくには、どうすればいい?

エリート学者が教える、すぐに賢くなれる簡単な方法スティーヴン・レヴィット教授シカゴ大学経済学部教授。ハーバード大学(経済学)を最優等で卒業後、MITで経済学のPh.D.取得。94年から97年までハーバード大学のエリート研究者養成制度ソサエティ・オブ・フェローズのジュニア・フェローに選出。03年、ノーベル経済学賞の登竜門と言われるジョン・ベイツ・クラーク賞受賞。04年よりシカゴ大学ベッカー・フリードマン研究所ディレクターを兼務。06年、タイム誌「世界で最も影響力のある100人」に選出。09年、ノーベル経済学賞を受賞した故ゲーリー・ベッカー、ダニエル・カーネマンらとTGGグループを設立。スティーヴン・ダブナーとの共著に、世界的ベストセラー『ヤバい経済学』『超ヤバい経済学』がある。(撮影:大野和基)

―― 新作『0ベース思考』では、さまざまな思考法について提案されていますが、教授自身は、何かすごいこと、新しいことを生みたいとき、具体的にどう考えられているでしょうか?

スティーヴン・レヴィット教授(以下、レヴィット) どうすれば新しいアイデアを思いつけるかということについては、私自身、ずいぶん悩んできました。

 まだ大学院の学生だったときですが、担当教授から「きみはありきたりの論文を書くのはうまいけれど、もっとクリエイティブなものを書いてほしいと思っている」と言われたことがあります。

 私はひと夏、ソファーに座って「何かすごいものが出てこないか」と宙をにらんでうなりつづけました。でも、夏が終わっても、何のアイデアも浮かびませんでした。考えるというのは、ただじっとしてうなっているようなことではないんです。

 では、どうすればオリジナルなアイデアを思いつけるのか。私のアプローチは2つあります。

 まず、毎日を過ごしているなかで、あらゆるものごとに対して、「それは筋が通っているか」と考えることです。

 人に何を言われても、私はすぐに「イエス」とは言いません。筋が通っているかを見極めて、筋が通っていなければ、時間をかけてなぜなのかを考えます。こうすることで、ふだん当たり前のように見過ごしていることの中に意外な発見をすることができます。