毎年、夏になると大雨や台風で洪水被害が報告されるが、これまで、洪水情報は住宅価格にあまり反映されていなかった。しかし、国土交通省が進めている、住宅関連情報一元化によって今後、住宅価格が大きく変わってくる可能性がある。

増加傾向にあるゲリラ豪雨
内陸であっても被害は起きる

 毎年夏から秋にかけて、大雨や台風による洪水被害が多数報告される。近年は、ゲリラ豪雨による局地的な洪水の数も増えている。1時間に50ミリ以上の「非常に激しい雨」が降ると、滝のようにゴーゴーと鳴り、傘はまったく役に立たない。さらに80ミリ以上の「猛烈な雨」になると、大規模災害が発生する恐れが非常に強くなる。

「洪水マップ」情報一元化で不動産価格の大変動が起きる!河川や海の近くでなくても洪水被害には遭う。今後は住宅価格にも大きく反映されていく情報だ

 気象庁によると、1時間50ミリ以上の雨は2014年、全国の観測地点1000地点あたり237回発生した。80ミリ以上は16回だ。

 もちろん、年によってばらつきはあるものの、過去40年のデータから「増加傾向が明瞭」だと結論付けている。

 河川や海の近くでなければ大丈夫ではないか?多くの人がそう考えるかもしれないが、実際には内陸部であっても大雨による洪水被害は免れない。というのも、たとえば東京都内の排水能力は1時間50ミリを目安に整備されている。そこにたとえ短時間とは言え、80~100ミリもの大雨が降れば、下水や排水路の排水能力を超えてしまい、水が溢れ出すのだ。

 たとえば東京都杉並区では、05年9月に起きた集中豪雨で浸水被害が発生したことを受けて、「杉並区洪水ハザードマップ」を改訂した。このマップを見てみると、河川沿いはもちろんだが、河川から遠く離れたエリアであっても浸水が深くなる場所が示されている。水深20~50センチ(大人の膝までが水に浸かる)エリアから、なんと2~5メートル(家の2階の軒下まで水に浸かる)が予測されるエリアまでがある。