ASEAN、BRICsに続く巨大経済圏「MENASA」をご存じだろうか。Middle East(中東)、North Africa(北アフリカ)、South Asia (南アジア) を指す言葉として、最近注目されつつある合計22ヵ国からなる巨大な経済圏だ。

MENASAの人口は30億人!
既存の新興国を上回る経済成長率

 MENASAの人口は、人口8億4500万人のインドを含めると30億人近くになる。人口構成は若年層が多いピラミッド型で、少子高齢化が進む欧州、北米などと異なる。2011年時点で6%だった経済成長率は20年になっても5%台を維持するとみられている。また13年時点で世界の国内総生産(GDP)の9%を占めていたが、19年には10%に拡大すると予測されている。経済成長率は、先進国だけでなくトルコ、ブラジル、ロシアなど「既存の新興国」を上回るという見込みもある。

ASEAN、BRICsに続く巨大経済圏「MENASA」のパワーMENASAのハブとなりそうなのがドバイ。AIIBやAECが始動して活発化するアジアの経済圏と交わり、超巨大経済圏が生まれる可能性もある

 市場調査会社フロスト・アンド・サリバンが実施した調査によると、MENASAの市場規模は10兆ドルに上る。またMENASA市場のGDPは12年に前年比3.5%増となり、22~23年には12兆3000億ドルに達すると見込まれる。

 MENASA市場の投資規模の内訳は、中東が62%、南アジアが25%、北アフリカが13%だ。投資機会が見込まれる主な分野は、インフラ開発、電力・水、不動産、石油・ガス、製造、ヘルスケアなど。

 中でも、ハブとなると見込まれるのがドバイ(アラブ首長国連邦)だ。国際空港評議会(ACI)のデータによると、ドバイ国際空港は14年4月~15年3月までの世界国際便利用者ランキングによると、前年比5.2%増の7100万人で、世界1位。2位のロンドン・ヒースロー空港(6800万人)に約300万人の差をつけた。ちなみに東京成田空港は前年比6.9%減の2800万人で、16位だった。

 ドバイ国際空港を利用する利点は、巨大市場インドの主要都市まで3時間以内で行けることだろう。たとえば、ニューデリーまでのフライト時間は2時間40分、ムンバイまでは2時間20分という手軽さだ。

 ドバイの港湾ハブ戦略にも注目すべきだろう。ノルウェーのコンサルタント会社・メノンがこのほど発表した「世界の主要港湾都市ランキング」で、ドバイは世界13位だった。1位はシンガポール、以下2位ハンブルク、3位オスロ、4位香港、5位上海、6位ロンドン、7位東京、8位ロッテルダム、9位ニューヨーク、10位アテネ、11位釜山、12位コペンハーゲンと、歴史的な巨大港湾が上位にランキングされている。

 特筆すべきは、メノンが20年までに、この順位が大きく変動すると予想していることだ。メノンの予想では、シンガポールが引き続き世界トップを維持する一方で、20年までに上海が2位に上昇する見込み。難しいのは3位の予想だ。オスロ、ロッテルダム、香港、ドバイがほとんど同じレベルになると予想されるためだ。しかしメノンは、グローバル市場における重要性の高まりを考慮すると、ドバイが3位になる可能性が高いとみている。