【書評】ネット検索が怖い 「忘れられる権利」の現状と活用 神田知宏著ネット検索が怖い 「忘れられる権利」の現状と活用 神田知宏著 定価:842円(税込)

 インターネットが普及する現在、ウェブにおける個人の誹謗中傷やプライバシー情報流出は誰にでも起こりえる状況となっている。本書はIT分野を専門とする弁護士による、ネット検索被害の入門書だ。

  本書を読む上で是非知っておきたいのが「忘れられる権利」という新語だ。ネットから個人の情報を削除させ、人から忘れてもらう権利のことで、2014年に はEU司法裁判所が同権利を参照し、検索大手のグーグルに検索結果削除を命じる判決を下した。著者はこの事例を参考に、同年国内で同種の判決を勝ち取っ た。検索被害対策は今や世界全体で喫緊の課題なのだ。

 ネット上の記事削除/発信者特定にかかる費用・期間や事例紹介など、具体的な説明が充実し ているのもポイントだ。さらに、SNS上での個人情報管理など「被害者」とならない方策についても徹底解説。現在進行形で問題に悩む人々はもちろんのこ と、ネットを利用するすべての読者にとって第一線の「実用書」といえる。

週刊朝日 2015年7月17日号