「忘れられる権利」は
スペインの一個人が起こした訴訟で生まれた

グーグルの「忘れられる権利」申請者は<br />意外に「普通の人」が多かった事実米グーグルが公開している「透明性レポート」http://www.google.com/transparencyreport/removals/europeprivacy/?hl=en

 2014年5月にヨーロッパで成立した、検索エンジンにおける「忘れ去られる権利」。主に自分自身に関する理不尽な内容を記したページへのリンク削除を、グーグルなどに依頼できるというもので、その権利が認められたこと自体は市民の勝利だった。

 もともと忘れ去られる権利は、あるスペイン人男性がグーグルに対して起こした訴訟が元になっている。

 1990年代に負債のために自宅が抵当流れになったその男性は、その後完済したにも関わらず、依然として自宅がオークションになった新聞告知が自分の名前の検索結果で上位に表示されることについて不満を訴えたのだ。

 欧州司法裁判所によって訴えが認められたことで、インターネット上ですでに有効でないできごとやいわれのない記述へのリンクを、検索会社に申請して削除してもらえるということになったのが、この忘れ去られる権利である。

 ただ、問題は削除申請に対して判断を下すのがグーグル等検索会社であるという点だった。

 今や検索は情報のインフラともなっているのだが、特定の情報が正しいか間違っているかを判断するのを、一私企業に任せていいのかという懸念が方々から出されていた。今年5月には、80人の学者らがグーグルにオープンレターを出し、判断基準がわかるようそのプロセスをもっと公開するように求めていた。

 そうしたこともあって、グーグルは自社サイトの「透明性レポート」で申請がどのくらいあり、そのうち削除が認められたのがどの程度かなどを公開している。ところが、イギリスの新聞ガーディアンがその透明性レポートのアーカイブ版を掘り下げて、そのソースコードから実はもっと詳しいデータがあることを突き止めたのである。