仕事のできる人がよく言う「視点をずらす」とは何か?今までの延長で足し算的に仕事をするだけでは、考える力は決して飛躍しない。1+1=3に飛躍させるためにも、視点の方向性をずらす技術を身につけたい。トヨタでは「視点をずらすための思考の型」が存在する。ここでは、世界一の現場力を築く原動力となった、トヨタ秘伝の思考法の一部を公開。

「視点をずらして考えろ!」<br />と言われた時に役立つ、トヨタ秘伝の思考法

思考を飛躍させる「視点をずらす」考え方

 今までの延長で足し算的に仕事を進めようとしても、すぐに限界が訪れます。また、今までの延長で考えていても飛躍的なアイデアなんてものはなかなか出てきません。

 そんな時にトヨタグループの現場ではどのように考えているかと言うと、「視点をずらす」という言葉に尽きるでしょう。私が働いていたのは神奈川トヨタ自動車でしたが、トヨタの考え方はグループ全体で共有されているように感じました。

 視点をずらすというと「お客様視点で」とか「相手の視点にたって」と想像するかもしれません。確かに、商品を開発する時やサービスを提供する時にはお客様の視点も加味する必要がありますし、社内のコミュニケーションを円滑にするには相手の視点に立つことも大事です。

 いずれも重要でビジネスにおいては欠かせないのですが、自らの「考える力」を飛躍させるためには、方向性をずらして考えるべきだと言えます。実際、トヨタには「縦」「横」「上下」など様々な方向性に関する口グセがあります。それらの口グセによって思考が飛躍し、現場が次々に改善されているといっても過言ではないと思います。

 事実、私が経営者として優秀なビジネスパーソンの方とお話をさせていただくと、もれなくこういった「方向性をずらす思考」の話が出てきますので、これはトヨタに限らずあらゆる仕事で通用する考え方なのだと思います。

 では、その方向性をずらしている口グセというのは具体的にどういうものなのか、説明していきましょう。