関西の公益事業者ながら、大阪ガスは化学、電力、燃料電池など新規事業を育て、海外にも積極的に飛び出し、伸び悩む国内ガス事業を代替している。七転八起の社風の秘密を、尾崎社長に聞いた。(「週刊ダイヤモンド」編集部 小島健志)

尾崎 裕
大阪ガス 尾崎 裕社長
Photo by Satoru Oka/REAL

 新しいことに尻込みせず、チャレンジする企業風土は確かにある。転んでもただでは起きないというより、たくさん転んでそのたびにつかんだものがあるというのが正しい。やってみようやないかとやって、失敗してもへこたれず、もう一回挑戦しようという気質は、ビジネス、技術開発などあらゆる経営的側面にも通じている。

 現場が「できます」と判断したことを、上層部が封じ込めることはない。上も下も、迷ったら積極的な方法を選択する。取り組まなかったことを後悔しても取り返しがつかない、会社中がそうした認識を持っている。発電事業は、決定当時に想定した環境とそうとう異なっているが、今、数字は上がっている。進出してよかった。

 コスト意識が根づいたのは、関西特有の体質に鍛えられたからだ。東京の奥さんは「これは10万円もするのよ」と、高価格を自慢する。大阪の奥さんは「10万円を5万円で買った」と誇る。質と価格を追求するお客様に受け入れられようと必死なら、コスト意識は高まるはずだ。