『いつもの服を着ているだけなのになぜだかおしゃれに見える』が話題のスタイリストの山本あきこさんと、cakesでの連載をまとめた『できれば服にお金と時間を使いたくないひとのための一生使える服選びの法則』を上梓したスタイリスト大山旬さん。2人とも、一般の方の自宅でワードローブをチェックし、コーディネートを指南するパーソナルスタイリングの先駆者です。服選びの勘違いからおしゃれに見える着こなしまで語り合っていただきました。(構成:佐藤友美)

多くの人が間違っている「服選び」

ほとんどの人はシンプルな服を持っていない!

___山本あきこさんの『いつもの服を着ているだけなのになぜだかおしゃれに見える』と、大山旬さんの『できれば服にお金と時間を使いたくないひとのための一生使える服選びの法則』は、それぞれ女性向け、男性向けがメインのファッション指南本ですが、書かれていることには共通点が多かったように思います。

多くの人が間違っている「服選び」

大山:共通点、たくさんありましたね!

山本:はい。特に「シンプルな服を持ちましょう」というのは、お互いの書籍の、一番大事なメッセージでしたね。

大山:僕はご自宅にクローゼット整理に伺うことが多いのですが、皆さん、ものすごく服をたくさん持っているんですよ。僕よりも大量に持っている方のほうが多い。

山本:私もまったく同じです! ご自宅でクローゼットを見せていただくと、服の数は皆さん本当に多いんです。でも「たくさん服はあるけど、明日着ていく服がない」とおっしゃる。それって、実はシンプルな服を持っていないからなんですよね。

多くの人が間違っている「服選び」

大山:いっぱい服を持っていれば、順繰りに使えるかというとそうでもないんですよね。キャラがかぶっている服が多いと、使い回しがしにくいですし。

山本:そう! お宅に伺ってコーディネートさせていただくときは、口癖のように「あのー、普通の白シャツはないですか? 普通のTシャツは……?」と聞いています(笑)。皆さん、プレーンな服をお持ちじゃないので、やっぱり組み合わせが難しい。

大山:わかります。僕もまずはシンプルな服だけ残して、そこからコーディネートをスタートするというのがセオリーです。
白シャツでもワンポイントがあったり、色ステッチが入っていたり、ボタンが派手だったりすると、着回しがしにくいんですよね。まさに『できれば服にお金と時間を使いたくない人のための一生使える服選びの法則』の表紙にしたような普通の白シャツがいいんですよ。でも「こういうシャツを買いましょう」と言うと「え? そんなに普通でいいんですか?」って驚かれますね。

多くの人が間違っている「服選び」

山本:私のお客様にもそういう方が多いので、よくわかります。あともうひとつ、私がよく感じるのは、形のかぶりですね。
『いつもの服を着ているだけなのに、なぜだかおしゃれに見える』では、必ず手持ちの服を全部床に並べて俯瞰して、形のかぶりをチェックしてくださいと書いているんです。なぜなら、同じ形の服ばかり持っている方がすごく多いから。

 形が同じだといくら色や柄が違っても印象が変わらないんですよね。例えばチュニックばかり持っている人は、ボトムにいつもスキニーを合わせてしまいがちです。そのバランスが変わらないと、人のイメージはいつまでたっても変化しない。いろんな組み合わせを楽しんでもらうためにも、シンプルな服は必須ですよね。

大山:僕はお客様に「8:2」を意識するといいと伝えています。シンプルなものが8割。それがそろってから、少しずつ自分の好きなテイストを入れていけばいいんです。