郵政改革を巡って、鳩山由紀夫内閣が真っ二つに割れた。

 亀井静香金融・郵政改革担当大臣と原口一博総務大臣という2人の所管大臣が一昨日(3月24日)午前8時半から公表した改革案に対して、菅直人財務大臣がその日の朝開かれた参議院予算委員会の質疑で「そういうことはない」と反対する姿勢を表明したばかりか、仙谷由人国家戦略担当相も聞かれもしないのに「議論もしていない」と記者団に不快感を示したという。

 加えて、肝心の鳩山首相は「まだ報告を受けていない」と修正の余地が大きいとの考えを示して、菅、仙谷両大臣の議論に肩入れする考えを明確にしたという。

 この問題について、亀井大臣による日本郵政の経営への介入が目に余ることは、筆者が2月19日付の本コラム「政治の玩具から抜け出せない郵政改革 参院選睨み、国営回帰目指す国民新党への露骨な介入」において、すでに詳細に報じた通りである。

 鳩山内閣の閣内不一致による空中分解を避けたいならば、亀井大臣は早急に、持論に固執する頑なな姿勢を改めて、選挙対策のための国策会社作りと見紛うような杜撰な改革案を自ら白紙撤回すべきだろう。

大改革の方針としては
あまりに杜撰で準備不足

 まず、亀井、原口両大臣が24日の基本方針の公表の際に示した資料から話を始めたい。というのは、この資料を一見しただけで、亀井大臣のこれまでの取り組みの杜撰さが読み取れる内容となっているからだ。

 まず、この資料のタイトルは「郵政改革の諸事項等について」(談話)というものだ。この種の大改革の基本方針を示す資料としては拍子抜けの感が強いが、枚数も本文1枚と別紙1枚の合計わずか2枚のA4用紙しかないのである。

 内容に話を移すと、いきなり「現在検討中の郵政改革に関連して、以下の諸事項の方針等を固めたことから、今後、内閣としての正式決定に向けて所要の対応を行う」という前置きが記されている。

 つまり、この基本方針というのは、単に亀井、原口両大臣の腹積もりに過ぎない段階にあり、何らオーソライズされたものでなく、物議をかもすことになったとしても両大臣に責任はないという呆れた書きぶりで始まっているのである。確かに、改革論議は亀井大臣が一人で囲い込む傾向が強かっただけに、原口大臣を責めるのは酷だが、亀井大臣の当事者責任は隠しようがない。

 そこで肝心の中身に話を進めると、改革の柱が、(1)今国会に提出予定の郵政改革基本法案の成立にあわせて、郵便貯金の限度額(現行1000万円)を2000万円に、簡易保険の限度額(同1300万円)を2500万円にそれぞれ拡大する、(2)政府から親会社への出資と、親会社から子会社への出資をそれぞれ3分の1超とする、(3)4月中の郵政改革基本法案の提出を目指す――のわずか3点しか記されていないなのである。そして、添付された別紙をみても、限度額の現状のデータなどが記載されているだけなのだ。