芸能界きっての自然環境派、スローライフ実践者として知られる清水国明さんに、ダイヤモンドQ編集部がインタビューをした。自然と向き合うその姿には、十全に生きよというメッセージが込められている。 

自然の中にいると、家の在り方が見える <br />清水国明(タレント・冒険家)インタビューしみず・くにあき
1950年生まれ。福井県出身。73年フォークソング・デュオ「あのねのね」で芸能界デビュー。自然体験や環境講演会なども多数。95 年からアウトドアライフネットワーク「自然暮らしの会」(山梨県富士河口湖町)を主宰。2004年「NPO法人河口湖自然楽校」を設立。05年にアウトド アパーク「森と湖の楽園」(山梨県河口湖)を開園。14年に埼玉県所沢市教育委員就任。現在、瀬戸内海の無人島「ありが島」プロジェクトに取り組んでいる。

「あのねのね」でデビューしたのが20代。でも、30代に入るとお呼びが掛からないようになりました。芸能界にだんだんと居場所がなくなって、自分はどうすればいいのか日々考えるようになりました。そして、ある日、ふと、芸という字は、「草」かんむりに「云う」と書くんだなあと。草は自然を象徴するものなので、そうか、自然の力を伝えるのが芸能人なんだと。

 振り返ってみると、好きなこと、得意なこと、なおかつ、自分の力でできることが自然の中にあったんです。山に登ったり、魚を釣ったりすることが大好きなんです。自然の中で生きる喜びを知ってもらって、憧れを持って見てもらえれば、自然界のスターだなって。その喜びを伝えることならできる。そこに自分の居場所があることに気が付いたんです。

震災に遭った子供たちを
自分のキャンプ場に招待

 小さいころから剣道をやっていますが、「守破離」という教えがあります。型を「守」るところから修業が始まり、既存の型を「破」り、最終的には型から「離」れて自在になれるというもの。師匠を超えて、まだそこにとどまっていたら、自堕落になっていくという戒めの言葉なんです。

 私も、普通だったらこれぐらいでいいかなというところで終われない性格なんです。もう一つ壁を越えて、また、越えて、さらに高みを極めていく。プロを目指すというか、プロそのものになろうとする。好きなことで稼げるようにならなければ本物じゃないと思っています。ある意味、芸を極めることと一緒かもしれないですね。