米利上げの未体験ゾーンに突入
世界連鎖株安は短期間で終息しない?

世界連鎖株安と米国利上げで<br />「景気後退」の予感は強まる<br />2015年10月前後には、日銀が追加緩和に打って出る可能性も

 中国発の世界連鎖株安が、ごく短期間で終息するとは思わない方がよい。米利上げの未体験ゾーンに突入するのは今からである。いよいよ9月以降が要警戒の時期になる。

 米株式市場が、長いゼロ金利期間を抜けて、短期金利水準を引き上げても、そのショックに経済成長が脅かされないと、完全に織り込むにはまだ時間がかかると考えておくべきだろう。だから、少なくとも数ヵ月間、日米株式市場は大きな変動幅に悩まされるに違いない。

 さて、本稿で説明しておきたいのは、ファンダメンタルズである。株価下落が起こった直後、政府などからは、必ず「ファンダメンタルズは良好なのだから慌てる必要はない」と説明される。

 しかし、そこで例示されるファンダメンタルズとは、往々にして過去の話である。だから、株価下落の背後にあるメカニズムを読み解いて、先々のファンダメンタルズがどう変化するかを、熟慮しなくてはいけない。

 今後、悪化が進むのは中国経済である。貿易取引は停滞し、日本の生産活動は悪化するだろう。経済産業省「鉱工業生産指数」は、2015年1月をピークに、年内は水準を切り下げていく可能性がある(図表1参照)。他の非製造業の活動指数も、おおむね2015年初を境に悪化する動きが確認できる(図表2参照)。そうなると、事後的に2015年中は景気後退期だったという判定になるだろう。

世界連鎖株安と米国利上げで<br />「景気後退」の予感は強まる<br />出所:経済産業省
世界連鎖株安と米国利上げで<br />「景気後退」の予感は強まる<br />出所:経済産業省