漫画・アニメ産業の新たな“起爆剤”に?<br /> 「デジタル漫画ビジネス」の知られざる胎動過去最多数のアニメファンが集まった「東京国際アニメフェア2010」。アニメのヒロインに扮した“萌え系”の女子たちや個性的な展示物が熱気溢れる会場を彩った。

  『ドラえもん』のフィギュアが宙に浮かび、『新世紀エヴァンゲリオン』のヒロイン・綾波レイに扮した美少女が人混みを練り歩く――。

  ビジネスマン諸氏にとっては、滅多にお目にかかることがない光景だろう。

 これは、数々の催し物が行なわれる東京ビッグサイトで3月25日から4日間に渡って開催されたアニメ見本市「東京国際アニメフェア2010」におけるシーンだ。アニメ関連イベントとしては、世界最大級となる。

  同アニメフェアは、アニメ関連産業の振興を図る目的で、2002年に始まった。石原慎太郎東京都知事が実行委員長を務める「東京国際アニメフェア実行委員会」が主催しており、毎回、放送局、出版社、アニメ制作会社、玩具メーカーなど、アニメ産業に関わるありとあらゆる国内外の関係者が一堂に会して、活動のPRや新作の発表を行なっている。

 今年で9回目となる今回は、過去最高となる13万人以上のアニメファンが会場を訪れたと言われる。冒頭のように、会場を見渡すと、各社のブースではアニメのキャラクターに扮したコンパニオンたちがメイドのような口調でPRを行なっており、一種独特の空気に包まれている。

 アニメにちなんだユニークな店も多い。国民的妖怪マンガ『ゲゲゲの鬼太郎』のグッズを販売する「妖怪舎」は、「鬼太郎の好きなビーフカリー」や「鬼太郎の住む森の湧き水」(ミネラルウォーター)などを提供する「鬼太郎茶店」を出店し、アニメファンの胃袋を満たした。

アニメフェアにも波及する
不況と構造変化の不安な影

 この盛況ぶりを見る限り、世界に類を見ないクオリティと歴史を誇る日本のアニメ産業の行方は、「前途洋洋」といった印象だった。

 しかし近年、このアニメフェアも状況が変わり始めたという。昨今の不況の影響などにより、今年は例年よりも関係者がトーンダウンしているようだ。出展企業や団体数は2年連続で減少しており、ブース数も昨年より減ったと報道されている。