住宅メーカーの積水ハウスがサービス付き高齢者向け住宅に力を入れている。住まいづくりの実績に基づいた取り組みで、自分らしく暮らし続けるための質の高い住宅を実現する。土地オーナーにとっても、社会貢献度が高く、地域に喜ばれる魅力ある土地活用となるはずだ。

 現在、8人に1人が75歳以上の高齢者という状況が、2025年には、5人に1人の割合になると予測されている。そうした状況の中、国や自治体は、高齢者が生涯にわたって安心して生きがいを持って過ごしていける社会を形成するため、さまざまな施策に取り組んでいる最中だ。住まいの分野では、生活相談や安否確認などのサービスを提供し、高齢者が安心して暮らしていけるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)への期待が高い。だが、その数はまだまだ足りないのが実情だ。

 住宅メーカーの積水ハウスは、そのサ高住事業に積極的に取り組んでいる。これまで、全国で264棟・1万戸超(15年7月現在)の登録実績を誇る。

高齢者が安心して
安全に暮らせる住まい

 住宅の専門家として、全ての人が自分らしく心地よく生きていける住まいを目指す「生涯住宅思想」を基本思想に掲げる同社は、業界に先駆けて、高齢者や障がい者向け住宅の研究に取り組んできた。その実績を反映したサ高住は、高い断熱性や気密性、耐震性などの住まいとしての基本性能が高いだけでなく、高齢者が暮らしやすいよう、設備やインテリアをはじめ、安全・安心・快適に配慮した工夫が随所に施されている。

グループの総合力で
多彩なサ高住を実現

 建物だけでなく、同社には専門部署やグループ会社との連携によって、専門知識がない土地オーナーでもサ高住事業に新たに参画できるサポート体制が整っている。

 医療・介護分野に特化した専門部署を06年に設け、情報収集、ニーズ分析、多様な視点からの研究・開発を行ってきた。現在の医療・介護推進事業部は、そうした経験とノウハウを基に、高齢者住宅や施設を総合的にプロデュースするプロ集団部門となっている。そして、これまで築いてきた全国の介護事業者とのネットワークを駆使し、サ高住事業で土地活用を考えるオーナーと介護事業者とのベストマッチングを図ってくれるのだ。

 例えば、「ミモザ白寿庵足立江北」は、社会貢献となるような土地活用を望むオーナーに、質の高いサービスを提供したいと考える介護事業者を紹介し、両者の思いが一致して実現した。小規模多機能型居宅介護施設が併設され、体が不自由になった場合でも介護サービスや訪問看護を受けられるようになっており、街並みとも調和した高齢者の“家”となっている。

ミモザ白寿庵足立江北(東京都足立区)
小規模多機能型居宅介護施設を併設。心地よい生活と家庭的なぬくもりを感じさせるインテリアにこだわった高級感のある空間を実現

 また、今年3月にオープンした「マストクレリアン神楽坂」は、子育て世代向け賃貸住宅を併設したサ高住。50平方メートル以上の部屋をそろえ、食堂やライブラリー、キッズスペース、屋上庭園などのエリアをファミリー世帯と共用する。多世代が交流できるだけでなく、今後は地域にも公開したイベントを開催する予定だ。さまざまな人々が触れ合う機会を創出し、新たなコミュニティの拠点として、地域の街づくりにも貢献する。