ドラッカー名言集『仕事の哲学』
ダイヤモンド社刊
1470円(税込)

 「成長に最大の責任をもつ者は、本人であって組織ではない。自らと組織を成長させるためには何に集中すべきかを、自ら問わなければならない」(ドラッカー名言集『仕事の哲学』)

 ドラッカーは17歳のとき、単身ウィーンを出て、ハンブルク大学一年生でありながら大学には行かず、商社で働きつつ図書館に入り浸る生活を送っていた。そのときフェイディアスの言葉を知る。

 紀元前440年頃、ギリシャの彫刻家フェイディアスは、アテネのパンテオンの庇に建つ彫刻群を完成させた。フェイディアスの請求書に対し、アテネの会計官は全額の支払いを拒んだ。「彫刻の背中は見えない。見えない部分まで彫って請求してくるとは何事か」。フェイディアスは言った。「そんなことはない。神々が見ている」。

 ドラッカーは言う。人は誇れるものを成し遂げて、誇りを持つことができる。仕事が重要なとき、自らを重要と知る。

 成功の鍵は責任だという。自らに責任を持たせることである。あらゆることがそこから始まる。大事なものは、地位ではなく責任である。責任ある存在になるということは、真剣に仕事に取り組むということであり、仕事にふさわしく成長する必要を認識するということである。

「他の者が行うことについては満足もありうる。しかし、自らが行うことについては、つねに不満がなければならず、つねによりよく行おうとする欲求がなければならない」(ドラッカー名言集『仕事の哲学』)