関係の薄い情報が
スルーされるパターン

 情報量が爆発的に増えた今、企業の「伝えたい」情報が以前のように伝わらなくなっています。

 誰の元にも、毎日のように数多くのメールやターゲティング広告が届く状況で、受け手にそれらを全て開封して読んでもらうことなど、到底期待できません。消費者は、情報処理能力を無駄なく使うため “情報バリア”を張り、自分に関係の薄い情報と接触しないで済むようにする術を身に付けています。

 つまり、すでに「伝える=伝わる」時代ではなくなってしまったのです。企業が広告として消費者に届けようとする情報の多くはノイズとみなされ、“情報バリア”ではねかえされてスパムと化しています。

 消費者は実際にどのように情報をスルーしているのでしょうか。それには、(1)無視する(2)切り捨てる(3)放置する、の3つのパターンが考えられます。

(1)無視する
 そもそも、その情報に気付かない場合も含め、存在を認識していないということです。今の消費者は、無意識に広告を無視してしまっているのです。

 例えば、あなたは昨日見たネット広告を一つでも覚えていますか? おそらく多くの人が、一つも覚えていないでしょう。

 あるアイトラッキング実験によれば、多くの人がネットメディアの画面の上部と右側を無意識のうちに見ていないか、もしくは見ていても、そこにある情報を全く認識していなかったそうです。これは、画面を毎日見ているうちに、上部と右側にある情報の多くが広告であることを学習し、次第に認識さえしなくなったということなのだそうです。

 スマートフォン向けに最適化された広告については、画面がパソコンやタブレットに比べて小さいだけに、広告の存在はより強く感じられます。

 急ぎ何かを検索したい時、メールを送りたい時、ソーシャルメディアに投稿をしたい時など、広告が本来の目的である操作の邪魔になることもあって、ともすると嫌悪感を抱かれてしまいます。結果として、ブランドイメージを落としてしまいかねません。