『フォーブス』誌発行人を務め、連続起業家でもあるリッチ・カールガードは「成功し続ける企業」の5つの条件を、ウォール街からシリコンバレーまで全米企業への徹底取材から明らかにした。本連載は『グレートカンパニー――優れた経営者が数字よりも大切にしている5つの条件』からそのエッセンスを紹介する。第8回のテーマは「雑談が生産性を上げる?」だ。

雑談の多い職場ほど生産性が高い?

おしゃべりがチームの生産性を高める

個人の才能がチームの成功にもたらすプラスの影響は思うよりはるかに少ない。つまり、優れたチームをつくる最良の方法は、才能や業績が優れている個人を選ぶことではなく、メンバーがコミュニケーションをしっかり図れることかもしれないのだ。

ソシオメトリクスのデータを見ると、事実が、社会学や文化的なものごととは無関係に、本当は何を意味しているのかがわかる」とMITヒューマン・ダイナミクス研究所のアレックス・ペントランドは言った。
「なかには驚くような事実もある。たとえば、雑談が生産性を向上させる、といったものだ」。

 生産性を上げるためにおしゃべりしよう──そんなことを誰が予想しただろう。こうした実験の結果として、MITのチームは一連の社会的シグナルを突きとめた。それは、売り込みの結果や、交渉の成功や、信頼の形成を予測するシグナルであり、たとえば話す時間の長さや、会話を支配する程度、ミラーリングの影響といったものがある。
ミラーリングは、会話の最中に、ある人が別の人の言葉や仕草を無意識に真似るときに起きる。コミュニケーションの一つのツールであるこのミラーリングは、言葉を使ってやりとりしているときに起きるものであり、驚くほど強力だ。

 たとえば、メンバーの一人が楽しくわくわくした気持ちでいると、ほかのメンバーも前向きな気持ちになる傾向が強い。「情動伝染」と言われる効果だが、これはチーム内の緊張を和らげるのに役に立つ。