今年は大手企業の採用日程が4カ月繰り下げられたことで、大手企業と中小企業の採用活動のピークが重なり、例年以上の人材獲得競争となっています。人材不足が叫ばれている今、中小企業はより一層の努力をしなければ、欲しい人材を確保できないばかりか経営危機に陥る可能性も! 知名度の低い会社でも独自の採用活動=採活(サイカツ)メソッドで成功に導いてきた「採用のプロ」が教える、中小企業のための最強の人材採用マニュアル『低予算でも欲しい人材だけが来てくれる! 社長・人事・総務のための新しい採用活動の本』から抜粋し、再構成してご紹介します。(文・構成 佐藤祥子)

来てくれるなら誰でもいい、と
採用するのでは生き残れない!

 小さな会社でも、優秀な人材を獲得することはできます。
今「そんなことできるわけがない」と思いませんでしたか? そして、このような考えを持っているのではないでしょうか。

「優秀な人材はみんな大企業に取られてしまう」
「うちの会社は大企業のようにはできない」
「中小企業がいろいろやってもムダ」
「どの会社も採用しないような人しか応募してこない」
「うちの会社に来てくれるなら誰でもいい」

 現在、私は中小企業の採用活動をサポートする仕事に携わっていますが、このような後ろ向きの考えを持つ社長や採用担当者をたくさん知っています。小さい会社ほどそうかもしれません。

 確かに大企業はネームバリューだけで人材が集まりますし、採用活動の予算も潤沢です。もともと優秀な人が専任の採用担当となり、さらに研修やトレーニングを受けてそのスキルを高めて取り組んでいるので、優秀な人材を取れるのも当然です。そこまでやらなければ人材獲得競争に勝てない、ともいえます。

どうしたら、必要な人材を採用できるのか?牧伸英(まき・のぶひで)
一般社団法人採用面接士協会理事、特定社会保険労務士、e-人事株式会社代表取締役、ぜぜ社労士事務所代表、一般社団法人日本歯科労務コンサルタント協会代表理事、滋賀県社会保険労務士会理事、同会湖西支部支部長、日本FP協会滋賀支部副支部長(2015.9現在)。 大学を卒業後、営業職、経営コンサルタント、人事コンサルティング会社を経て独立開業。 現在は、採用面接士®として、採用選考プロセスの設計、適性検査の導入、オリジナル採用基準の構築支援、面接官の育成、採用面接への同席&採否の助言、内定者フォローまで展開しており、支援先企業は約400社。高校生・大学生への就活支援も手掛けており、支援実績は延べ3000人以上。
ホームページ http://www.e-jinjibu.jp
メールマガジン https://55auto.biz/e-jinji/touroku/entryform6.htm

 だからといって、中小企業は優秀な人材を採用できないことにはなりません。

 大企業のようにお金をかける必要はなく、知恵と工夫で勝負。
むしろ、中小企業であることを“武器”にして、自社が欲しいと思う人材を獲得する方法はあるのです。それをもっとたくさんの人々に知ってほしくて本書を書こうと決めました。

 私が就職したのは1996年、就職氷河期の時代で大学時代に約100社とかなりの数の面接を受けました。このときの経験を活かし、これまでに採用面接指導等を行った高校生や大学生などは3000人以上います。

 現在は、企業向けのセミナーや個別相談など、企業サイドに立った採活支援活動を中心に行っており、全国にある支援先企業は約400社にのぼります。

 ここ数年は人材不足が深刻化し、大企業ですら優秀な人材の獲得に苦労しています。知名度の低い中小企業ではますます厳しくなるのは確かでしょう。採用に本気で取り組まなければ生き残れない時代になりました。

 しかしながら、中小企業の採用ではいまだに「相性」「タイミング」「感覚」といったような考えを重要視する風潮が根強くあります。つまり「社長が気に入ったから」「すぐに来てくれるなら誰でもいい」などで採用してしまうケースです。

 簡単に決めてしまっても、その人が本当によい人であれば問題はありません。しかし、もしダメな人材を採用してしまったら、その人を辞めさせるのは今の日本の法律では非常に困難です。

 法律面から考えると、解雇は不自由ですが、採用は自由です。ですから、どうやって辞めてもらうかを考えるよりも、始めからダメ社員を採用しなければいいのです。