従来の印象を払拭し、広くて快適なビジネスホテルが急増中だ。サービスの質も格段に向上。こうした進化は訪日外国人にも好評で、国内外入り乱れて予約の争奪戦が勃発。ホテル評論家の瀧澤信秋氏に、現状や予約のコツについて聞いた。

 日本が観光立国を目指していることは周知の事実だが、その光と影が次第に浮き彫りになってきた格好だ。

 中国人をはじめとするインバウンド(訪日外国人旅行者)による“爆買い”が日本経済に寄与する半面、日本人がビジネス出張や観光旅行の際になかなかホテルの予約が取れないケースが頻発している。しかも、どうにか確保できても宿泊料金がかつてと比べてかなり高めの設定になっていたりするのだ。

インバウンド需要で
ビジネスホテル大人気
予約難、料金高騰も!

瀧澤信秋
ホテル評論家

 こうした状況を「東京ホテル難民」という言葉で表現したホテル評論家の瀧澤信秋氏は、異変の背景についてこう語る。

「国際空港とのアクセスがいいホテルでは、宿泊客の9割がインバウンドといった状況にもなっています。特に最近のビジネスホテルは、非常に快適できれいでありながら、海外の相場と比べても料金が安過ぎました。

 外国人たちは帰国後、口コミでその素晴らしさを伝えるため、さらに人気が拡大しています。もともと多くのホテルは需要に応じて料金を変えるレベニューマネジメント(需要予測管理)を用いており、こうした背景から1泊3万円などといったケースも出てきています」

 確かに、ここ数年のうちに日本のビジネスホテルは目覚ましい進化を遂げ、サービスの質が格段と向上してきた。かつては狭くて汚いという印象を否めなかったが、近年はゆったりとした間取りで清潔感あふれる空間を提供するホテルが急増。さらに、こぞって「3B」に力を入れるようになっている。大浴場やサウナなどのBath、有名メーカーのものなどを使用したBed、食材などにこだわった無料のBreakfastだ。

 多くのホテルで全体的なサービスの質をグレードアップする一方で、これらのポイントには差異がなくなってきたともいわれる。だが、瀧澤氏は指摘する。

「そういった取り組みが女性客に好評で人気が高まってくると、男性客からも支持されるようになります。特にローカルなエリアに展開している独立系のビジネスホテルは、全国チェーンにはなかなかマネのできないような独自のサービスを提供しようと意気込んでおり、見比べてみると並々ならぬ差が出てきています」