経営者が知らない「絶対儲かる仕組み」とは?
日本経営教育研究所の代表で、新著『絶対儲かる「値上げ」の仕組み、教えます』で披露した驚きの経営手法が話題となっている石原明さん。
一方、わかりやすいストーリー仕立ての『400円のマグカップで4000万円のモノを売る方法 儲けの仕組みが簡単にわかる!』が初の著作であり、経営者に向けたビジネスモデル塾が好評のCARITY代表の髙井洋子さん。
昔から知り合いだったというお二人が奇しくも同じ時期に書籍を発売、お互いすぐに重版が決まるなど快調に売れているベストセラー著者として、今回、本の制作の裏話などを語ってもらう第三回目(最終回)です。(取材・文・構成/佐藤祥子、撮影/宇佐見利明)

もとの値段の10倍値上げをしてもらった企業も!

石原経営者には自分の会社はこういうものだというコンフォートゾーンがあります。少し儲かるという会社なら、少し儲かる会社のままです。その人が儲からないゾーンにいれば、儲からない時代が続きます。そこから抜け出さなければいけません。

 本にも書きましたが、僕は企業のコンサルティングや経営のアドバイスを行う際、事業モデルや景気の良し悪しに関わらず、ほぼすべての企業で値上げをしてもらいました。ある顧問先ではもとの10倍値上げをして成功させたこともあります。日本の商品やサービスは付加価値が付いて必要以上に安い状態なので、値上げは適正な価格にするという意味合いもあります。

髙井 デフレの時代に、値上げはとんでもない、と考える経営者はたくさんいますが、私の場合もまず値上げをしてもらうケースが多いですね。それだけですぐ利益が上がるんです。みなさんは難しく考えてしまうようですが、実際にやってみると「儲けることは意外と簡単だった」と分かる人が多いです。

経営者が知らない「絶対儲かる仕組み」髙井洋子(たかい・ようこ)
株式会社CARITY代表取締役社長。横浜出身。経営者として任された家具の販売会社を3年で事業拡大、オリジナル家具販売のフランチャイズ化、さらにオリジナル住宅販売、リフォーム事業などを手掛け、立上げから3年でグループ年商70億円を達成。その後、経営コンサルタントに転身、2012年に優秀なブレーンとともに会社を設立、代表取締役社長に就任し、現任。現会社の経営の中心である中小企業の経営者を対象にした「ビジネスモデル塾」は高額にもかかわらず人気で、3年ですでに34期を開催、全国500社を超える多くの中小企業経営者が通う行列のできる講座となっている。現場感覚を持ち込んだビジネスモデル構築や戦略、戦術策定の指導、アドバイスを行い、V字回復した会社も数多く、中小企業の現状打破、業績向上に貢献。世の中のビジネスモデルを分析し、どのように儲けているかを検証するのが趣味で、この本の主人公と同様、「儲けるなんて、簡単よ」が口ぐせ。

石原 髙井さんと僕はビジネス感覚が非常に似ていますから、同じことを同じようにやっているのかもしれないですね。

社会全体が安くていいモノを求め、企業は安くていいモノを提供した方が評価されています。でもそれを中小企業がやっても勝てません。大企業が値段を安くするのは、他社をマーケットから追い出すための戦略として行っているんです。ユニクロを例に上げれば、他社の追い出しに成功して今は値上げの段階にありますよね。

 特に中小企業には、値下げをすれば弊害を及ぼすだけだということを理解してほしいと思います。例えば100円で売って利益が30円の場合、80円に値下げすれば利益は10円、つまり3分の1になります。3倍売れないと同じ利益を出せないということです。販売員やクレームの対応、在庫なども必然的に増えてくるため、費用もそれだけかかってしまいます。逆に130円に値上げすると、利益は60円で倍に増えます。売上が半分に減ってもこれまでと変わらない利益を確保できる、ということです。

髙井 確かに、値上げのやり方を知らない経営者は多いと思いますね。

石原 今のお客さまに値上げをすれば、相手が怒るのは当然です。新規のお客さまに値上げをしていけば、そのうち値上げした価格が標準となるので、古いお客さまも受け入れやすくなります。
 

 

経営者が知らない「絶対儲かる仕組み」