3月8日から、住宅エコポイントの申請受付が開始された。2009年5月にスタートした家電エコポイント制度の住宅版。エコ住宅の新築、エコリフォーム(窓の断熱改修や、外壁、屋根・天井または床の断熱改修)を行った人に、最大で30万ポイント(1ポイント1円に相当)が付与されるというものだ。

 家電エコポイント同様、商品券や地域特産品等と交換できるほか、同時期に実施する工事費に充当することもできる。家電エコポイントでは、デフレが長期化し、サイフのひもが、ますますゆるまなくなった家計からも、省エネ性能の高い薄型テレビの購入に向かったという傾向がはっきりと現れている。住宅エコポイントにおいても同様の効果を期待し、消費者に向けて積極的なアプローチを展開するメーカーも少なくない。

 現在、TVCFなどを使ってエコポイント対象のリフォーム用内窓「プラマードU」を強く打ち出すYKK AP。1月には家電量販のビックカメラと協力協定を結び、首都圏4店舗を通じプラマードUの販売促進に着手した。2月からは業務提携をしているTOTOの全国のショールームに内窓サンプルを展示。

「MADOショップ」全国展開<br />エコ窓で攻勢かけるYKK APYKK APが4月から展開を始めた窓リフォームの新店舗ブランド「MADOショップ」のロゴ。「MADOショップ」参画店では、顧客の目に入るように、ロゴや看板、のぼり等を掲示する予定だ

 また、建材流通店とのパートナーシップによる窓リフォームの新店舗ブランド「MADOショップ」を、4月から全国展開すると発表した(今年度約100店舗)。会社形態、財務、事業計画、経営基盤、契約、機能等、28項目の要件をクリアしたプロショップが対象だ。

 「家電量販店やHCチェーンでは、断熱窓の普及促進が狙い。施工が簡単な『プラマードU』のみを取り扱う。それに対し、MADOショップは施工が難しい外窓の交換を含めて取り扱うことで、両者の差別化を考えている」(同社広報担当)。

 この3月から、カインズでは同社などと組み、これまで不透明になりがちだった工事施工費を定額制(1枚1万5000円、2枚なら2万円)にして、プラマードUの取り扱いを始めた。住宅エコポイントのスタートに際し、概要が決まると同時に「お客さまに製品の概要や取り付け後の効果、エコポイントの交換方法などを安心して説明できるように」と全国10会場で200人の社員に対し10回にわたる研修を実施、取付工事に関しては各地の有力工務店20社と協力関係を築き、ほぼ全国エリアでの対応を可能にするなど、カインズとして入念な体制で臨んでいた。

 しかし「一度に10窓以上の取り付けを申し込まれるお客さまもいて、予想以上の反響に驚いている」と話すのは同社担当者だ。

「MADOショップ」全国展開<br />エコ窓で攻勢かけるYKK APカインズ南砂町SUNAMO店ではリフォームセンターの一角に、「プラマードU」の販促スペースを設置。メーカー支給の器材やツールのほかに、自社独自のバナーも用意し、顧客に向け積極的にアピールしている

 2月20・21日に、南砂町ショッピングセンターSUNAMO(東京都江東区)内で開催した南砂町SUNAMO店「住まいのエコリフォームフェア」には、360人が相談に訪れ、うち約3分の1が内窓に関するものだったという。「住宅エコポイントへの関心の高さもさることながら、防音、防犯、結露の抑制といった省エネ以外の、内窓のメリットに興味を持つお客さまが多い、ということに気づいたのは大きい」(同前)。

 これまで、冬場の断熱効果が顧客への訴求ポイントであり、「冬のシーズン商品」という位置づけだったが、今後はリフォーム部門の通年重点商品としてとらえ直すという。また内窓の販売にあたっては「複雑な住宅エコポイントの仕組みやメリットを顧客にわかりやすく説明すること」が重要だが、販売実績を上げるにつれ、社員の間で「接客に対する自信」がより強く感じられるようになったとも。

 住宅エコブームがどこまで追い風となるのかはわからない。しかし、その追い風に乗りながら、“売る力”をモノにしようとしているカインズ。「住宅エコポイントに感謝したい」という担当者の言葉が、全員で共有される日は来るのだろうか。


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