最近、住宅ローンショップといわれる、住宅ローン販売の来店型店舗が登場している。展開しているのはSBIホールディングス傘下のSBIモーゲージ。すでに全国に66店舗あり、今年度中に120店舗、数年以内に400店舗をフランチャイズ展開で出店するという。この聞きなれない住宅ローンショップという新業態は、なぜ成立するのか。

「ようやく『これだ』というビジネスモデルにたどり着くことができた」

 こう熱く語るのは円山法昭・SBIモーゲージCOO(最高執行責任者)だ。販売するのは主に住宅金融支援機構との提携商品である住宅ローン「フラット35」。ただしその顧客は、周囲の中堅規模以下の不動産会社、工務店や仲介業者から紹介してもらう。中堅規模以下の不動産会社は、窓口となってくれる金融機関がほとんどないため、容易に提携できるのだという。

 さらに現在強化しているのが住宅ローン顧客に対する生命保険の販売。フラット35の契約者は大半が団体信用生命保険に入る。そこで「すでに加入している生命保険の死亡保障を削減できる可能性がありますよ」と提案すると、「50%の顧客が保険の見直し相談を行い、最終的に30%の顧客が保険を見直して新しい保険に加入する」(円山氏)。ショップは保険会社から手数料をもらえるため、“二毛作”が可能になる。優秀なショップだと保険の見直し率が70%にもなるというから驚きだ。

 保険業界に詳しい船井総合研究所の桑原敏彰氏は「最近は来店型の保険ショップが過当競争に陥っており、住宅ローンショップに興味を持っている。加盟店探しは困らないだろう」としており、成長の余地は大きそうだ。

 ただ生命保険の取扱社数は6社にとどまるなど、保険の販売体制が整っているとは言いがたい。こうした課題をクリアすれば化ける可能性もある。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 野口達也)

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