世界最大チェーンの誕生で加速する日本のホテル開発マリオットによるスターウッドの買収で世界最大のホテルチェーンが誕生する Photo:AP/アフロ

 米ホテルチェーン大手マリオット・インターナショナルが同業の米スターウッド・ホテルズ&リゾーツを買収する。買収額は日本円にして約1兆5000億円。これにより世界で5500軒、110万室を持つ世界最大のホテルグループが誕生する。

 スターウッドの身売り話は今春浮上、買い手候補には英インターコンチネンタルや米ハイアット、はたまた中国企業の名前も挙がったことで混戦となったが、最終的にマリオットに軍配が上がった。

 両社は買収のシナジーとして「地域の補完関係があり、多様なブランドを持つことでさらにグローバル展開を加速できる」という。

 マリオットは北米の比重が高いが、スターウッドはアジアを含めたその他地域への展開が先行。ブランドは両社合計30に上る。買収後2年間で、運営や管理の効率化により2億ドル(約250億円)のコスト削減も見込んでいる。

 巨額買収が起こった背景には、ホテル産業を取り巻く大きな環境変化がある。

 まず、米エクスペディアなどのオンライン旅行会社が普及したことで価格競争がシビアになった。そして、米Airbnbをはじめとする民泊仲介サービスの台頭が、ホテル市場を脅かすほど成長しているのだ。

「Airbnbの企業価値はスターウッドの2倍」とも報じられているほど。こうした新興勢力に対抗するためにも、両ホテルは規模を拡大し、圧倒的なパワーを持つ必要があったのだ。