経営の自主性は守られたか?
日産ルノー不平等提携是正の意義

日産とルノーの不平等提携是正は<br />「ポスト・ゴーン」への起爆剤か?ルノーの不平等提携が是正され、日産は日本車メーカーとして存在感を強められるか Photo:REUTERS/AFLO

 日本時間の12月12日未明(フランス・パリ時間の12月11日)、日産自動車の西川(さいかわ)廣人副会長兼チーフ・コンペティブ・オフィサー(CCO)がパリからテレビ記者会見し、「日産、ルノー、フランス政府が日産の経営の自主性を担保し、アライアンスの将来を守ることで合意した」ことを発表した。

 今回の三者による合意は、下記条件により将来にわたるアライアンス(提携)の成功を担保するものとしている。

・ルノーにおけるフランス政府の2倍の議決権は、2016年4月1日付けで維持される。また、フランス政府とルノーとの間で締結される契約によりルノーはフランス政府の議決権を17.9%に制限するが、株主総会において通常より高い定数となった場合には最大で20%まで拡大される。

・日産はルノーの議決権を有しない。

・日産は、同社の経営判断に対してルノーによる不当な干渉を受けた場合、ルノーへの出資を引き上げる権利を有する。

 西川日産CCOは、これを受けて「ルノーと日産の信頼関係は、ゴーンCEOの力強いリーダーシップにより築き上げられたことは言うまでもありませんが、さらに将来に向けて一歩前進したとも言えるでしょう。今回の合意は、当社の利益にとって最善の内容であると固く信じております」との声明を発表した。さらにこの合意の意義について、「ゴーンCEOが退任しても十分仕事ができる関係を築いた」とも述べた。

 ルノー日産連合は、1990年代末から2000年代初頭に起きた世界の自働車メーカー間の合従連衡において、アライアンスの成果を上げたモデルケースと言われてきた。確かに、瀕死の状態にあった日産がルノーの援助(カネ、ヒト)によって再生し、一方で再生後の日産はルノーの持ち分適用会社としてルノーに持ち分利益を上納することで、ルノーの業績を支えているという関係にある。

 ルノー日産連合は、2000年代初頭の世界自動車大再編劇が、ダイムラークライスラーの離婚に代表されるように、国際資本提携が必ずしも思惑通りにいかなかったケースが続出したなかで、唯一とも言える成功例であろう。つまり、日産はルノーのお蔭で立ち直り、ルノーは日産の業績回復のお蔭で連結決算における日産の寄与が大きくなっているというわけだ。

 ただ、1999年にルノーが日産に出資して以来、現在ルノーと日産は株式を持ち合う関係にあるものの、ルノーの日産への出資比率が43.4%なのに対し、日産のルノーへの出資比率は15%で、かつ日産の持つルノー株には議決権がない。日産はルノーの了解なしにルノー株の売買ができないなど、資本面では不平等な提携関係にあった。