ドラッグストア(DgS)とコンビニエンスストア(CVS)の提携後の具体的な動きが活発化してきた。

 関西エリアでDgSを展開するイオングループのタキヤ(兵庫県尼崎市、飯塚啓社長)は、4月2日、CVSのミニストップのフランチャイズ(FC)店舗として導入を図っているサテライトの3号店、タキヤ奈良駅前店(奈良県奈良市)を改装オープンした。それまでの売場面積約145坪を193坪に拡大した同店では、新たに25坪のCVSゾーンが設けられたのをはじめ、営業時間もこれまでの10時から20時までを、早朝・夜間にそれぞれ時間を拡大した、7時から23時となった。

 奈良駅前店では、すでにサテライトを導入している巽南店、深江南店(いずれも大阪市)の2店の営業状況を踏まえ、月商で現在の2180万円が3100万円程度のアップを見込んでいる。

 これまでの動向から、サテライト導入によって、おおむね客数は導入前の1.4倍から1.5倍になる一方、客単価は10%前後マイナスとなることがわかっている。奈良駅前店ではこれまでの客単価1470円が1350円程度に下がると想定し、店舗の人員配置や売場改善を進めている。サテライトでは、同店から初めて飲食店営業許可を取得し、イートインコーナーを設けたほか、ソフトクリームやコーヒーサービスなどファストフードの取り扱いを開始し、サービス機能を高めている。一方、新たなサービスを付加したことでオペレーション面での効率化が、さらに求められることになる。

 このような背景もあり、エンドを含むプロモーション展開はこれまで2店と比較し縮小していることから、奈良駅前店はこれまで以上にCVS色が強く出ている。薬剤師が常駐し、OTC第1類医薬品も取り扱っているが、シフトの関係から販売時間帯が限られるため打ち出しが弱く、総じて、DgSとしての印象は薄くなっている。

 4号店は、兵庫県明石市でのサテライト導入を予定しており、さらなる融合が進む見込みだ。

マツキヨ&ローソン新業態
店舗面積100坪にイートイン

 一方、マツモトキヨシホールディングス(千葉県松戸市、吉田雅司社長)と、ローソン(東京都品川区、新浪剛史社長)が合弁会社を設立し展開する新業態は、いまのところおぼろげな枠組みの決定にとどまっている。すでに発表されている上期中の1号店出店に向け、今後決定しなければならない課題が山積だ。

 合弁会社エムケイ・エルが展開する新業態は、店舗面積100坪(330m2)で、食の提案とヘルス&ビューティ展開を基本とするフォーマット。調剤は併設しない。さらに、イートインコーナーを設け、店内での飲食が可能な店舗となる模様だ。東京都心に1号店を出店するため物件を探索中だが、いまのところ有力な候補地は見つかっていない。ガラス張りのファサードイメージと100坪での基本フォーマットが決まったが、店舗名などもまだ決まっていない。

 エムケイ・エルの動向については今後も注目が集まるが、いまさらながら、店舗というかたちに固執する必要があるのかという疑問が浮かぶ。すでにドラッグ&コンビニや、ヘルスケアコンビニという融合モデルを模索する動きは活発だ。エムケイ・エルがゼロベースにこだわり、苦労の末、生み出す新業態店舗は、果たしてどの程度、世の中の期待に応え、完成度の高いビジネスモデルとして登場させることができるのか。

 2009年8月の提携発表から9ヵ月が過ぎようとしている。仮に壁にぶつかっているのであれば、新業態店舗の開発だけにこだわらず、幅広い分野において提携の果実を求めるべきかもしれない。


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