昨年末に発表された「国民健康・栄養調査(2014年)」によると、世帯所得で生活習慣や歯の本数に違いがあるという。

 本調査は厚生労働省が毎年実施しているもの。今回は、重点調査として世帯の所得を200万円未満、200万~600万円未満、600万円以上に分け、所得と生活習慣との関連を調べている。

 その結果、世帯所得が600万円以上の男女に比べ、同200万円未満の男女は穀物摂取量(ご飯やパンなど)が多く、野菜や肉類の摂取量が有意に少ないことが判明した。

 さらに食品を選択する際に重視するポイントを質問したところ、600万円未満の世帯は「おいしさ」「好み」「季節感」「栄養価」への関心が低く、全体に食に無頓着な傾向があった。手っ取り早く「量」で満腹感を得るため、主食やファストフードのみで食事を済ませていると推測される。

 このほか、世帯所得が200万円未満の世帯の男女は、習慣的に喫煙している割合が高く、肥満の割合が高かった。一方で1日の平均歩数が少なく、健康診断の未受診率が高かった。

 さらに歯の本数が20本未満の割合が高いなど、ほとんどの調査項目で所得格差が健康格差につながっていることが示された。

 その一方で、健康リスクが増加するほど飲酒量が多い人の割合は、世帯所得が200万円未満の男性より、同600万円以上の男性が有意に高いことが判明している。また、世帯所得が200万円未満の男性に比べ、甘味料や砂糖類、肉類など嗜好性が高い飲食物を摂る割合が高い。どうやら分水嶺は世帯所得600万円らしい。

 低所得層が陥りやすい不健康な生活習慣は、2型糖尿病や脂質異常症などの発症リスクであり、将来は脳血管疾患、心疾患を引き起こす。一方の高所得層、特に男性は過度な飲酒が健康リスク。大腸がんや食道がんは飲酒との関連が明らかなので注意が必要だ。

 所得はすぐに変えようがないが、日々の習慣で身体を「維持する」のも「壊す」のも自分次第。できる限り自分をいたわろう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)