政治を動かすのは「数」だけでない
「支持の強さ」が重要

 政治を動かすのは、基本的には議員数、すなわち「数」だが、しかしそれだけではない。「質」というか、同じ支持でも支持の強弱が「数」に劣らないほど重要な要素だ。

 投票所へ行ったとき、前から投票する人を決めていて強く支持している場合は、エンピツが折れるほど強く濃く書く。ところが、投票所へ行ってから候補者の一覧を見て何となく名前を書く場合にはどうしても軽く弱く書いてしまうものだ。

 しかし、開票のときには全く同価値として数えられる。候補夫人の一票も、浮動票の一票も全く同等である。

 私は、政治を動かすのはむしろ支持の強さだと思っているが、投票では必ずしも正確にそれが表れてこない。

 93年総選挙での細川政変をふりかえればわかる。あのときも、第一党は自民党で第二党は社会党だった。しかしふしぎなことに両党ともに影が薄かった。それは支持が弱かったからだと言える。

 あのとき国会で統一会派をつくった日本新党とさきがけは、合わせて50人そこそこの議員数であったが、その存在感は、50人とは思えないほど際立っていた。

 これは、自民、社会の支持が弱く、さきがけ日本新党に対する支持が強かったと言えるだろう。そしてそのわずか50人が中心になって政治を動かした。