最近の労働環境は「ハラスメントブーム」状態。課長にとって、おそらく過去最大レベルに労働法の知識が求められる時代が訪れています。新刊『課長は労働法をこう使え!』の中から、事例とともに実践的な「法律の使い方」をお伝えする連載第2弾。
(文中の一部の事例は、事実をもとに改変を加えたものです)

 「私、うつ病なんです」とは言わないけど病んでいそうな部下に、課長はどう対応するか?

労働問題を起こしやすい課長の特徴
9つのチェックリスト

 課長は、すべての労働問題で当事者になります。

(1)課長が上司や会社から被害を受けるケース
 まずあなた自身が、パワハラやセクハラを繰り返す上司の被害を受ける可能性があります。オーナー社長による独断的な人事評価など、「会社の論理」が課長を苦しめることも少なくないはずです。言わば、「上からの脅威」です。

(2)部下が問題を起こし、課長が巻き込まれるケース
 部下が他の社員にセクハラやパワハラを行った。部下がメンタルヘルス不全に陥った。部下同士でトラブルが起きた。部下が会社と衝突してトラブルになった……。そのすべてのケースで、課長が動かざるをえません。部下の問題は課長の問題に直結します。これは、「下からの脅威」と言えるでしょう。

(3)課長自身に問題があるケース
 自分自身がトラブルメーカーとなってしまう「課長発」の労働問題には弁解の余地がありません。この「内からの脅威」とでも言える状況は、厳に戒めなければなりません。

 そこで突然ですが、あなたは次のリストにいくつチェックが入りますか?

□「︎課長の仕事は雑用が多い」と感じている

□仕事は部下に教えるより自分でやったほうが早いと思う

□自分が先輩から教えられたように部下を指導している

□コミュニケーションはほとんどITツールで行っている

□他の者の教訓になるので、みんなの面前で部下を叱る

□最近、部長(上司)とのコミュニケーションが減ってきた

□仕事さえできれば、部下がプライベートで悩んでいても見て見ぬフリをする

□仕事に熱心になるあまり、つい感情的になってしまう

□課長は労働者としての権利が認められないポジションだと思う


 いかがでしたでしょうか。このうち1つでも当てはまれば、あなたは「問題課長予備軍」といえます。(1つ1つの項目がなぜ問題となりうるかについては、書籍にて詳しく解説しています)

 上、下、そして自分自身。課長とは、会社で起きるすべての労働問題の当事者になり得るポジションなのです。正しい労働法の知識を持ち、予防法、対処法を押さえつつ日々のマネジメントを行うべき最大の理由が、ここにあります。