2010FIFAワールドカップ南アフリカ大会は、スペインが初の王者に輝き、1カ月続いた激闘の幕が降りた。

 決勝戦はオランダが10枚、スペインが5枚と計15枚ものイエローカードが出る荒れた試合になった。激戦続きの選手は体が思うように動かない。相手の動きに対する反応が、どうしても一瞬遅れ気味になる。それでも、なんとしても勝ちたいという思いがラフプレーにつながったのだろう。内容的にはほめられるものではなかったが、「W杯の重さ」が感じられる緊迫した試合だった。

 グループリーグでは前回ドイツ大会の優勝国イタリアと準優勝国フランスが敗退する波乱があった。実績や格だけでは通用せず、現在の実力やチームのまとまりがなければ勝ち抜けないことを思い知らされた。

 アフリカ大陸で初めて開催された大会でもあり、アフリカ勢の躍進が期待されたが、開催国の南アフリカをはじめ出場6カ国中、5カ国がグループリーグ敗退。決勝トーナメントに勝ち上がったのはガーナだけだった。地の利や身体能力頼みのサッカーも通用しないことが証明された。

 一方、グループリーグをうまく戦ったのが南米勢だ。出場5カ国すべてが決勝Tに進出。準々決勝では優勝候補に挙げられていたブラジルとアルゼンチンが意外な脆さを見せ敗退したが、ウルグアイやパラグアイの活躍によって南米勢の試合巧者ぶりが印象づけられた。

 4カ国が出場したアジアは半数の日本と韓国が決勝Tに進出した。とくに南米パラグアイと引き分けた日本に対する評価は高く、次回の2014ブラジル大会でもアジアに与えられた4.5枠はキープできそうだ。その意味でも岡田ジャパンの功績は大きい。

 だが、波乱続きだった大会も決勝まで勝ち残ったのはFIFAランク2位と4位で前評判も高かったスペインとオランダ。予想通りにはならないが、かといって地力がなければ勝ち抜けないのがW杯ということを証明した大会でもあった。