ベネッセは中期経営計画で、グループ経営の加速、事業ポートフォリオの見直し、海外展開の拡大を打ち出した。コア事業の「進研ゼミ」では創業以来最大のリニューアルを実施し、全国各地の塾との提携を加速する。“攻めの経営”へ大きくかじを切ったベネッセの狙いを、原田泳幸社長に聞いた。

原田 泳幸(はらだ・えいこう)
ベネッセホールディングス
代表取締役会長兼社長

1948年生まれ。日本ナショナル金銭登録機(現・日本NCR)入社。横河・ヒューレット・パッカードを経て、97年アップルコンピュータ代表取締役社長。2005年日本マクドナルド代表取締役会長兼社長兼CEO。13年にベネッセホールディングス取締役、14年6月に現職就任。

──2020年に向けた中期経営計画の狙いを教えてください。

原田 ベネッセの継続的な成長、そのロードマップを作るのが狙いです。具体的には、グループ経営の加速、事業ポートフォリオの戦略的なバランスの構築、海外展開の拡大。この三つが達成できて初めて、継続的な成長の絵が描けると考えています。

──グループ経営といえば、これまで多くのM&Aを行ってきましたが。

原田 さまざまな会社を傘下に収めてきましたが、グループ経営を加速させるためには、その事業間のシナジーを上げる必要があります。足し算ではなく、掛け算の効果を出していかなければならない。これまでは、それぞれが事業基盤をつくってきましたが、今後は共通の事業基盤をつくり、経営の効率化を図って生産性の向上を目指します。

 例えば、進研ゼミ、塾、英語などの事業では、対象となるお客さまは共通です。ところが、一人のお客さまに事業ごとに、それぞれのタイミングでマーケティング活動を行っていました。こうした事業ごとの垣根を取り払い、共通のリーダーの下で競争力を高めていきます。

──ポートフォリオを見ると、進研ゼミが売上高の36%を占めています。

原田 事業ポートフォリオに関しては、現状は売り上げも利益への貢献度でも進研ゼミが中核で、それに頼り過ぎているリスクがあります。進研ゼミがコア事業であることに変わりはありませんが、今後は「海外・介護・学校」の3事業を成長ドライバーとして捉え、おのおのが1000億円の売り上げを目標に、進研ゼミに次ぐ3本の柱にしたいと考えています。

 今年度は中国市場で、対前年度比約40%増の実績を出しました。国によって文化や価値観、生活は異なりますが、発達段階に応じて幼児の成長を支援する「こどもちゃれんじ」のノウハウは、国を超えたスタンダードにできると考えています。今後は中国以外の市場展開も視野に、幼児教育分野の世界位置を目指していきます。

 事業ポートフォリオでは戦略的なバランスの構築が重要だと考えています。