ミャンマー進出のための現地調査も、事前に確認すべきポイントを絞り込んでおかないと、現地リスクや事業機会の効率的な分析は難しい。今回は、効果的な現地調査の方法について考えてみたい。

自社の目的に即した現地調査をどうデザインするか

 現地のツアー会社の話では、一般的な日系企業の現地調査は、JETROに行き、ティラワをとりあえず見て、現地で事業を行っている知り合いの会社を回り、また場合によっては現地の日系の弁護士事務所や進出コンサルタントと会って、適当にヤンゴン市内を観光して帰ってくる、というプランが一般的だという。最近は具体的な案件をより現実的に検討するための視察も増えてきているが、今でもこのような「一般的な視察」ルートがメインなようだ。
 当然だが、一般的な視察では、一般的な話しか聞けなくなる。従って、日本で新聞等に出ていた話を追認して、「やっぱりそんなものか」と思って帰っていくことになる。成功するための進出には、目的を持った視察が重要であることは、先ほど述べたとおりだ。本当に自社にとって必要な情報は何かを見極め、それに焦点を絞って効率的に自分なりのスケジュールで現地を回ることが重要だ。
 その際に、よりしっかりと情報を確保するために、以下の3点を意識する必要がある。

●調査対象の多様化
●より多い調査対象の確保
●何気ない風景から情報を引き出す

現地の視点で調査することが重要

 日系企業が情報調査を行う場合は、どうしても日本語で完結する世界で調査を行いがちだ。そのほうが、気も使わないし、日系ルートのほうがまとまった情報を効率的に収集できる。
 ただ、同じ事象に対しても、日本人の考え方と、現地の人の考え方では当然異なる。日本人にとって驚きの対象でも、現地では日常であることがしばしばだ。また逆に、日本人にはあたりまえのことが、現地の人にとっては非常に価値があることだったりする。現地で事業を行うのだから、現地の視点こそが重要で、それこそが現地でのみ確認できることなのだ。
 また、現地の人の見方は、ほかに進出を考えている欧米人や、他のアジア人の見方とも当然異なっている。果たして日本人が進出機会と思うものは、他国の人にはどう映っているのだろうか。同じものを、異なる視点でどう見えるかを意識すると、より深みをもって理解することが可能になる。
 そのような情報交換の機会は、その気になればいくらでも転がっている。同じホテルでたまたま声をかけた相手が、類似業界の会社の人かもしれないし、また海外からのビジネスパーソンがよく出入りするバーなどで、意外な人と会ったりする。要はそこに意識を置くかどうかだ。