今年の春の大型連休は最大10連休となる日並びの良さから、国内外に旅行する人が昨年より増えた。格安航空の増便や宿泊施設のスマホ予約など旅行スタイルが多様化する中で、タイムシェアやリゾート会員権が注目を集めている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)

ハワイのリゾート施設利用権がバブル期並みの活況人気の「ヒルトン・ハワイアン・ビレッジ・ワイキキ・ビーチ・リゾート」は9万㎡の敷地に次々と新しいタワーを建設している
Photo:PIXTA

「ヒルトンのタイムシェアに興味はありませんか」。40代の男性会社員は、大型連休中に訪れた沖縄でこう声を掛けられた。説明を聞くだけでハワイのリゾート施設の宿泊券など、プレゼントももらえるという。

 タイムシェアとは、リゾート施設の1部屋を一定期間利用できる“所有権”のこと。「時間を買う」ので別荘に比べて手軽でリーズナブル。かつ権利は永続的で、相続も可能な財産になるのが売りだ。

 業界最大手は米ヒルトン・グランド・バケーションズ。世界64リゾート、25万組以上の会員を誇る。日本では2003年に支店を開設後、会員は昨年末に5万組を突破。人気は何といってもハワイ・オアフ島の施設だ。

 テロの影響で海外旅行市場は低迷しているが、ハワイは別格。毎年150万人程度の日本人が安定的に渡航している。そうした中、大手旅行会社によると、近年は旅行会社のツアー利用率が70%以下になった一方で、個人手配のコンドミニアムやタイムシェアの利用が増えているという。

 背景にはリピーター率が60%と、他国への旅行に比べて非常に高いことがある。かつてツアーによるハワイ旅行を楽しんだシニア層が、なじみのハワイで新しい過ごし方をしようとコンドミニアムやタイムシェアを選んでいるのだ。

 実際、購入者は「ホテルとは異なる使い勝手で、第二のわが家のような感覚」と満足げに語る。内外装は高級感溢れる造りで、部屋は一般的なホテル客室のおよそ倍あり、広々としている。家具家電・調理器具も全てそろっており、外食に飽きたときは自炊するなど「暮らすような滞在」ができる。

 タイムシェアはポイント制で、購入した部屋のポイント分を、大きさやグレードの違う他の部屋や、全く違う地域にも使える。例えばハワイの物件を買っても、ラスベガスやディズニーワールドがあるオーランドなどを利用できる。

 購入検討者は説明会でマンツーマンの接客を受ける。“定番”のセールストークは「少し高級な車を買うのと同じくらいの費用で、憧れの地に一生ものの資産を持つことができますよ」。気になる費用は数百万円の物件(ポイント)代の他に、固定資産税や修繕積立金などを含む管理費が掛かる。