東京ディズニーリゾートの再開発がいよいよ動きだす。オリエンタルランドは4月末、満を持して計画を発表。株式市場は好意的に受け止めた。だが、計画は1度、見直されていた。その背景に何があったのか。(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)

「前倒し」か、「期待外れ」か──。4月末にオリエンタルランド(OLC)が発表した東京ディズニーリゾートの大規模再開発計画について、波紋が広がっている。

 さかのぼること2014年春、OLCは10年間で5000億円の大型投資に踏み切ることを明らかにした。東京ディズニーランド、シー共にインパクトのある再開発を施し、恒常的に年間3000万人を集客すると打ち出したのだ。

 翌15年春には開発構想を発表。ランドでは定番キャラクターが集まるエリアを2倍に広げて丸ごとリニューアルし、シーには「アナと雪の女王」を含めた「北欧」をテーマにした新エリアを設けるというもので、開園以来の大刷新にファンや投資家は期待を寄せた。

 ところがそれからわずか半年後、突如、計画を見直すと発表。周囲をやきもきさせたが、4月末にようやく新たな計画が発表された。

 その内容は、20年度までの5年間に計2500億円を両パークへ投じることで、より高い顧客満足度を伴った3000万人の集客目標を達成するというもの。ランドでは古くなったアトラクション跡地に「美女と野獣」エリアを新設し、シーには米パークで人気のアトラクションを導入するという。

 OLCの業績を見てみると、年間入園者数3000万人、客単価1万円超という高水準はおおむね維持しているものの、近年は売上高・利益共に横ばいの状態が続いている(図(1)(2))。

 そのため既存ホテルを買収したり、最近では大手不動産会社と沖縄で大型ホテル開発に着手したりするなど、ディズニーに頼らないビジネスモデルを模索中だ。

 とはいえ、やはり主力は売上高・利益共に8割を占めるパーク事業で、基本戦略は両パークにおける入園者数と客単価を最大化すること。そのためには、千葉・舞浜の限られた土地を継続的にブラッシュアップし、魅力的なパークを提供し続けることが必要だ。

 投資効率を測る指標である自己資本利益率(ROE)は12%と高く、引き続き8%以上を維持する見通し(図(3))。自己資本比率も75%以上あり財務は極めて健全だ。だからこそ株主からは、さらなる成長に向けた、思い切った投資が求められていた。