開業予定のものを含め、世界25カ国に47軒、約1万1000室のホテルを所有・運営しているマンダリン・オリエンタルホテルグループ。日本では2005年12月、東京・日本橋にオープンしてから11年目を迎えている。東京の近況や日本での開発方針、ホテルビジネスを取り巻く環境変化などについて、グループ副社長でアジアを統括するリチャード・ベーカー氏に話を聞いた。(取材・撮影/「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)

――マンダリン・オリエンタルホテル東京は「フォーブス・トラベルガイド」で5つ星を獲得するなど世界的な高評価を得ていますが、業績にはどのように表れていますか。

マンダリン・オリエンタルが日本で複数のホテル新設に意欲リチャード・ベーカー
マンダリン・オリエンタルホテルグループ執行副社長兼アジア担当オペレーションズディレクター。 ローズウッド・ホテルズ&リゾーツやフォーシーズンズホテルズ&リゾーツの経営メンバーを経て2006年にマンダリンオリエンタルホテルグループ入社。米国エリア担当を経て、13年から現職。ラグジュアリーホテル分野で20年以上に渡るキャリアを持つ。

 客室稼働率と客室単価はこの3年間で20%以上アップし、15年の稼働率は80%、単価は520ドルと好調でした。レストランや宴会場についても開業以来、最高の数字を出している。16年はさらに良い結果が出せると思います。

――好業績の理由はなんですか。

 東京は世界有数のビジネス都市ですが、最近はレジャー客も増え、海外からの旅行者は過去最高を記録するなど宿泊需要が大幅に伸びています。

 ビジネス客も相変わらず強く、当ホテルの宴会場はグローバルな大手企業のニーズが高い。そしてレストランは、ミシュランの星を獲得している店が3つもあります。(「シグネチャー」(フレンチ)、「センス」(広東料理)、「タパス モラキュラーバー」)。

 加えて人気シェフとのコラボレーションなど、ユニークな企画にチャレンジしています。15年はデンマークの有名店「ノーマ」とコラボレーションし、期間限定で出店したところ、3万5000件もの予約問い合わせがありました。

 こうした取り組みがメディアへの露出、ツイッターやSNSなどで多くの人に広がり、国内外のゲストに認知されたからだと思います。

東京はレストラン、スパは引き続き改善
客室を今年後半から大幅リノベーション

――16年から東京五輪開催の20年にかけては、どんな戦略ですか。

 これまで高い評価を頂いているレストランやスパについては引き続き、改善に努めていきます。レストランはピザバーやタパスバー、寿司カウンターのような席数の少ないスペースで、シェフとの会話を楽しめるような店づくりに力を入れます。ホテル内でさまざまな体験ができる多様性をもったレストランをラインナップするのが狙いです。

 客室部門については、東京のマーケットにおいて、当ホテルがトップの地位を築いています。今後も競争率が上がっていくほど、トップをキープしている我々としては、さらに伸ばす余地が大きいのです。