ブランドが誕生して今年で30周年。いまなお首位の座をキープするのがマンダムの男性用化粧品「ギャツビー」だ。成熟化している整髪料市場のなかにあって、ギャツビーブランドは勢いを保つ。2008年3月期の売上高は304億円、前期比9.9%の伸びを達成した。
 
 マンダムは08年3月期に売上高(約563億円)、営業利益(約68億円)共に過去最高を更新、09年3月期も増収増益を続ける見込みだが、その裏にはギャツビーの存在がある。

 じつは、このギャツビーにもピンチはあった。

  05年に資生堂が男性用化粧品「ウーノ」で攻勢をかけてきたときには、整髪料のシェアは3割を切るところにまで落ち込んだ。しかし、「1年後に挽回し、今ではうちが6割のシェアを握る」と西村元延社長は頬を緩ませる。

 ピンチからの巻き返しに成功したのは、独自のマーケティングと製品開発力によるところが大きい。10~20代の男性のニーズを徹底研究し、男性もかわいいパッケージを好むこと、男性の髪が伸びて既存の整髪料では対応できていないことに目をつけ、06年8月にヘアワックスの「ムービングラバー」を投入した。

 ピンクや緑などの華やかな色で、柔らかい容器は、これまでのヘアワックスのイメージをがらっと変えた。「社運を賭けて思い切った広告宣伝投資を行なった。トップを走り続けるために、常に若い世代の研究を行なっている」(開発に当たった桃田雅好・取締役常務執行役員)。

 マンダムの中期経営計画では、10年までにギャツビーの売上高を現在の3割増の400億円に伸ばす計画を打ち出している。「整髪料ではギャツビーブランドは定着したが、スキンケア領域では日本でもまだまだ成長の余地がある。さらに中国やインドへの進出も始めている」(西村社長)。

 あまり知られていないが、マンダムはインドネシアに50年も前に進出し、海外売上比率はすでに33%に達している。

 資生堂の攻勢を跳ねのけたマンダムは「売上高倍増」(1000億円)さえ射程にとらえている。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 大坪稚子)