ゼロイチで「イノベーションのジレンマ」を乗り切るには

イノベーションを起こすのに必要なのは“才能”ではなく“練習”だった!

 ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授が提唱した「イノベーションのジレンマ」理論によると、イノベーションには2種類ある。

 一つは、既存製品や技術の改良を進めることで自社の現在のポジションを維持し、市場を拡大するための「持続的イノベーション」。もう一つは、まったく新しい価値を生み出すことで既存製品の価値を破壊し、新しい市場を生み出す「破壊的イノベーション」だ。

 クリステンセン教授の言う「イノベーションのジレンマ」とは、優れた商品や技術を持つ優良企業が持続的イノベーションに集中するあまり破壊的イノベーションに乗り遅れ、新興企業に市場を奪われてしまうことを指している。

 なぜそのようなことが起きるのか。

 破壊的イノベーションを起こす新商品や新技術は、導入直後は市場規模が小さく、技術的に最適化もされていないため利益率も低い。

 持続的イノベーションで自社の優位性を維持できている優良企業にしてみれば、小さい市場に利益率が低い商品をわざわざ投入するメリットがないのだ。

 むしろ優良企業は顧客のニーズに応えるために既存製品の改良を進め、さらなる持続的イノベーションに集中すべき、という「健全な判断」をするものだ。

 しかしその後、自社の市場に、新興企業の破壊的イノベーションによる新商品や技術の価値が急速に広まった場合には、「優良企業」の優位性が失われてしまう。

 しかしそれは、優れた経営者による「健全な意思決定」の結果だ。だから「ジレンマ」なのである。

 この「イノベーションのジレンマ」を打ち破るためには、どうすればいいのだろうか。