民主党代表選で、菅総理の再選が決まりました。

 そんな中、日本が「自力」で円高阻止をできるかどうか、菅氏でも小沢氏でも、「プライドを捨てる」決断をできるかが焦点だと思うことを、今回は述べたいと思います。

「自力」での円高歯止めが難しいワケは?

 読者の多くの方々が、日銀の追加緩和や円売り介入といった日本の「自力」だけで、今回の「円高・米ドル安」を止めるのはほぼムリだと思っているのではないでしょうか?

 僕も、基本的にはそう思います。なぜなら、今回の「円高・米ドル安」は、米国の「異常な政策」によるものだからです。

 米国は「100年に一度の危機」を乗り切るために、異例の政策発動を行いました。その結果、未曾有の財政赤字がさらに拡大し、空前の金融緩和によって米ドルは「じゃぶじゃぶ」のカネ余りになりました。

 これらは、米ドルの行方にも直結するものです。

米財政収支とドル相場

 

上の図は、米国の財政収支と米ドル相場(実質実効相場)を重ねたものですが、前者が1年ほど先行しているものの、それを調整するとほぼ重なることがわかるでしょう。

 このグラフを見てわかるとおり、米ドルと同じように動いてきた米国の財政収支が記録的な財政悪化となったわけですから、相関関係に変わりがなければ、米ドルは急落することになります。

ソロスチャート

 

また、中央銀行の資金供給量の差と為替の関係に注目した分析を「ソロスチャート」と呼びますが、それによると、米国の金融緩和で空前の「ドル余り」となった結果、米ドルは60~70円へ一段安となる見通しになっています。

「円高・米ドル安」の流れを変える前提条件は…

 このような状況下で起こっている「米ドル安・円高」を、日銀の追加緩和や「円売り・米ドル買い」の単独介入で止めるのは、普通に考えたらまず難しいでしょう。

 それどころか、一般論で「日本単独ではムリだが、日米協調介入なら円高は止まるかもしれない」といった意見をよく耳にしますが、協調介入でもあまり変わらないでしょう。

 この未曾有の財政赤字、空前の「ドル余り」を解消させるために必要なのは…

記事の続きを読む