半導体世界5位ルネサス エレクトロニクスの人員約500人を、出身母体であるNEC、日立製作所、三菱電機の3社が受け入れる方向で調整されていることがわかった。

 ルネサスは、ルネサス テクノロジ(日立と三菱の半導体合弁会社)とNECエレクトロニクスが統合されて4月に発足した。

 現在、ルネサスでは、生産拠点の統廃合と人的効率化施策を骨格とした構造改革が進められており、すでに7月末時点で、4000人規模の人員削減と、生産拠点の統廃合に伴ない2011年3月期に約770億円の構造改革費用を計上することが公表されていた。

 目下のところ、構造改革案の詳細について、顧客、労働組合、地方自治体、元親会社などの関係各所と水面下で最終調整が行われている。

 元親会社である3社の人員受け入れによって、ルネサスの構造改革の進捗は加速する。ある元親会社幹部は、「工場の品質管理担当など欲しい人材も多い」と受け入れの意志を固めている。

 残りの人員効率化については、「一部の生産設備の売却を検討しており、対象の生産拠点の人員を売却先企業に受け入れてもらう」(ルネサス幹部)こ とも視野に入れているものの、現実的には地方で雇用されている人員の転勤を伴う配置転換は難しく、大部分は希望退職制度を適用することになりそうだ。

 また、生産拠点の統廃合については、4拠点の閉鎖・生産縮小が有力になっている。

 ルネサスには、巨費の設備投資が必要となる「前工程」の生産拠点が、国内だけで10カ所もある。生産設備が老朽化しており、価格競争力のない拠点も含まれており、「津軽工場、滋賀工場、山口工場、高知工場の4拠点が議論の対象となっている」(関係者)という。

 赤尾泰・ルネサス社長は、「人員施策の一部は来年にずれこむが、ほぼ構造改革は年内に終える」ときっぱり断言しており、10月末に予定されている中間決算にも構造改革の詳細が明らかになる。

(週刊ダイヤモンド編集部 浅島亮子)