住友ゴム工業社長 三野哲治<br />「低燃費タイヤを武器に<br />タイを世界の輸出拠点へ」Photo by Toshiaki Usami

──足元では円高、原材料価格の高騰が進んでいる。

 天然ゴムが昨年の倍近い価格で高止まりしており、為替も影響して収益を圧迫している。それらは今後さらに進行する懸念があり、企業努力では吸収し切れない状況だ。海外市販タイヤは昨年秋、5~10%の価格転嫁をしているが、国内市販タイヤは一昨年の秋から据え置いたまま。値上げは客の理解を得られるか難しいが、決断のスピードを上げていく。

──タイへの投資が活発だ。

 中期経営計画として2012年に売上高7000億円、営業利益620億円を掲げている。施策の柱になるのがタイを輸出拠点とするグローバルな生産体制の構築だ。

 タイは自動車産業の集積度が高く、エコカー生産支援政策により今後も自動車生産の高まりが予測される。製造コストも日本に比べ人件費が10分の1程度と安い。生産分の8割以上が欧米や中近東向けだが、タイの国内需要も年5%程度の安定成長が見込まれる。今年前半、政情不安はあったが影響は軽微だった。

 二つある工場は、総投資額1000億円をかけて能力増強を図っており、1日当たりの生産能力を現在の4万本から12年には7万本にし、その後早期に10万本体制にする。