「卵を一つのカゴに盛るな」とは、古くから伝わる資産運用の格言。タイプの異なるさまざまな投資対象に分散投資する重要性を説いたものだが、2年前のリーマンショックではあらゆる資産の価値が急低下して総崩れに。逆に、その混乱のなかで価格の上昇した金は、改めてその分散効果の高さが実証された。「金ETF」は、そのような金に少額から手軽に投資できるツールだ。

他の資産と値動きの
相関性が低い金価格

中岡寛晶
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ 証券営業部長

 いにしえの時代から、人類の“宝”としてもてはやされてきた金。資産としてのみならず、通貨としても用いられてきた。近年は実物資産で信用リスクがないことに対しても市場の関心が高まっている。金は焼失することもなければ、突然無価値となることもない、世界共通の価値を持つ資産なのだ。

 先頃のリーマンショックでは多くのペーパーアセット(証券化商品)が紙切れ同然と化し、世界的な大手金融機関でさえ破綻の憂き目に遭った。さらにギリシャの財政危機も表面化し、世界中が信用リスクに過敏になっている。一方、金には信用リスクがないうえ、高い換金性を持ち、加えてインフレにも強い特性を有するのが強みだ。

「米国の住宅バブルが弾けて資金が一気に逆流し、あらゆる資産が暴落した2008年においても、金は上昇を記録しました。他の資産との相関性の低さが実証されたわけです」

 こう語るのはステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社の中岡寛晶・証券営業部長。ステート・ストリート・グループは1993年に米国で初めてETFを開発した、同金融商品の“生みの親”だ。今日も「SPDR(R)(スパイダー)」ブランドとして革新的かつ多彩なETFを世界中の市場に供給している。