省エネ性能を高めた新築や改築によって、ポイントがもらえる住宅エコポイントをめぐって、関連業界各社で悲喜こもごもが繰り広げられている。10月に発表された政府の緊急経済対策のなかで、ポイント付与の対象が拡充されたものの、対象商品が事前予想と違っていたからだ。

 “肩透かし組“は高効率給湯器の関連メーカー。「発表の2~3日前まで対象入りすると思っていたが、急展開があったようだ」と大手給湯器メーカー関係者は肩を落とす。高効率給湯器は定価の半額近く出ていた補助金が9月末で終了、条件によって2万ポイント(1ポイント1円に相当)与えられるエコポイントに期待を寄せていたのだ。

 事実、8月の国土交通省の概算要求には含まれていたが、住宅エコポイント事業を所管する国交、経済産業、環境の3省のすり合わせのなかで、修正された模様だ。

 とんだ誤解もあった。概算要求で国交省が「ソーラーシステム」と記載していたため、一部メディアが「太陽光発電機器」と報じたからだ。一時関連株が上昇し、問い合わせも相次いだが、フタを開けてみると「太陽熱温水器」を示していることが判明。これは、太陽熱を利用して水を温める装置のことであり、九州や四国では昔から普及している。

 一方、「念願かなった」と喜ぶのはTOTOやINAX。節水便器の環境貢献度を訴えてきたが、晴れてエコポイント対象となった。国内の便器約7100万個の多くがいまだ13リットル型だが、全て6リットル以下の節水型に置き換わると年間で東京ドーム854杯分の節水になるという。魔法瓶のように時間が経過しても湯が冷めにくい高断熱浴槽も対象に含まれるなど、両社に追い風は吹く。

 ただ、景気の先行きに不透明感が増しているだけにどこまでリフォーム需要を押し上げられるのか、期待と不安が交錯している。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)

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