人手不足で「アミーゴ紹介求む」金融緩和を左右する移民政策群馬県邑楽郡の大泉町には日系ブラジル人が多く、看板に並ぶブラジル国旗やポルトガル語の多さに驚かされた Photo by Izuru Kato

 群馬県邑楽郡の大泉町は日系ブラジル人が多い街だ。先日訪れたところ、ポルトガル語の看板の多さに驚いた。

 スーパーマーケットにはブラジルの国旗が多数掲げられ、かの地の食材が並ぶ。併設のレストランでは「リオ五輪開催中の土日はブラジル料理ビュッフェ食べ放題1780円」といったキャンペーンも目に入った。また、駐車場にはブラジルの大手銀行のワンボックスカーの姿もあった。送金やローンの相談を受けているのだろう。

 その店に置いてあった無料の情報誌には、ポルトガル語で膨大な数の求人広告が載っていた。弁当など食品関連の工場の仕事は時給900~1100円程度だが、自動車関連の組み立てやハンダ付けとなると、1200~1400円といった高時給も見受けられる。

 大泉町近辺にはパナソニックや富士重工業の生産拠点があり、下請け企業の工場も多い。人手不足は深刻で、「Urgent」(至急)の文字が求人広告には散見された。「アミーゴ(友人)を1人連れてきたら2万円ゲット!」と書かれた広告や、日本語レベルが高い人材を正社員として求める募集もあった。

 過去を振り返ると、バブル経済期に日本政府は人手不足緩和策として、ブラジルから日系人を誘致した。しかし、日系人であればOKという選考基準で、教育水準や労働スキル、日本語能力の審査はなかった。外国人労働者の受け入れにおいては入国後のケアが非常に重要だが、日本政府はあまり関心を向けなかったのだ。